大人の事情で上映禁止になったアカデミー賞作品リスト!『アバター』『エクソシスト』など理由もいろいろ
今年で83回目を迎えたアカデミー賞だが、過去の受賞作の中にはさまざまな事情により上映が禁止された作品もあり、その中のいくつかの作品をエンターテインメントサイトGold Derbyが紹介している。上映禁止の理由は「これなら納得」というものから「え、こんな理由で?」というものまでさまざまだ。
アンソニー・ホプキンスがエクソシストに! 映画『ザ・ライト -エクソシストの真実-』場面写真
今回選ばれた作品の中でもっとも新しい作品は第82回アカデミー賞で作品賞を含む9部門でノミネートされ、3部門で受賞したジェームズ・キャメロン監督の映画『アバター』。歴代全世界最高興収を記録したことでも話題となったが、中国では、政府が行っている強制立ち退きを想起させる可能性のあるということで上映禁止に。圧倒的な映像美にあふれたエンターテインメント作品でありながら、政治的な内容であったことが裏目に出た形だ。これは理解できなくはないものの、映画ファンにしてみれば悲しい結果だといえそう。
逆に、シンプルながらも納得できるのが第46回アカデミー賞で10部門ノミネートを果たした傑作ホラー映画『エクソシスト』だ。マレーシア、シンガポール、そしてイギリスの一部では「怖過ぎる」という理由で上映が中止となった。これは納得できるが、ホラー映画が怖いからダメというのは……ちょっとやり過ぎ? もっとも上映禁止にされたのは、キリスト教が大多数を占める土地では、異端信仰とも取られかねない表現が問題になったという説も。今回のリストを見る限りではマーティン・スコセッシ監督の映画『最後の誘惑』などの宗教関連、『アバター』などの政治関連が原因での上映禁止が多いようだ。
こちらも多いのが、マーロン・ブランド主演の映画『ラストタンゴ・イン・パリ』、映画『ミルドレッド・ピアース』など過激な性描写が理由となっての上映禁止。ほかにも映画『ブロークバック・マウンテン』(第78回、3部門受賞)が同性愛を理由に、映画『クレオパトラ』(第36回、4部門受賞)が、クレオパトラを演じたエリザベス・テイラーがユダヤ主義者であるとの風評被害によりエジプトにて上映禁止の憂き目に遭っている。
今回、Gold Derbyが制作したリストでもっとも古い作品は1930年の戦争映画『西部戦線異状なし』で、『アバター』とは80年近い時代の差がある。にもかかわらず、上映禁止の理由は共に政治的理由であり、時代と場所は違えど映画をめぐる状況はあまり変わらないのかもしれない。