中谷美紀主演『阪急電車』が第3回沖縄国際映画祭で2冠「前を向いて歩こうと思える作品」
27日、18日より開催されていた第3回沖縄国際映画祭のクロージングセレモニーが行われ、中谷美紀主演の映画『阪急電車 片道15分の奇跡』が、観客賞の"Peace部門"海人(うみんちゅ)賞グランプリと審査員特別賞であるゴールデンシーサー賞の2冠を獲得した。偶然電車に乗り合わせた乗客たちの人生が交錯し、お互いに良い影響を与えていく心温まるストーリーが、11日に発生した東北地方太平洋沖地震により揺れる人々の心に響いた形となった。なお、同映画祭の受賞作品の賞金はすべて東北地方太平洋沖地震の被災地へ寄付されることが発表された。
24日、同映画祭で行われた舞台あいさつで、主演の中谷が「ゆいレール(沖縄県を走るモノレール)の“ゆい”は“結ぶ”という意味だと聞いております。この『阪急電車』も街と街を結び、人と人を結ぶ作品です。今日本中には困難な思いを抱える方々がたくさんいらっしゃいますが、そうした方々の涙が笑顔に変わることを祈っております」と語り、涙を流したことも印象的だった映画『阪急電車 片道15分の奇跡』。メガホンを取った三宅喜重監督が同舞台あいさつで語った、「当初から日本を元気にする作品を作りたいと思っていた」という思いが一般審査員の心に届いたようだ。受賞作品を発表した一般審査員は、「ありふれた日常の中で展開される物語に、人と人とのふれあいを感じました。『阪急電車』を観て、前を向いて歩こうという気持ちになりました」と本作によって希望を与えられたことを明かしていた。
同映画祭では、そのほか"Laugh部門"海人賞グランプリをタイ映画『ア・クレイジー・リトル・シング・コールド・ラブ(原題) / A Crazy Little Thing Called Love』が受賞。吉本が世界に向けて発信したい短編映像を集め行ったコンペティション「World Wide Laugh」のグランプリにTBS「あらびき団」による「BALLOON MAN the CHALLENGE」、地元を「Laugh&Peace」にするCMを集めた「JIMOT CM COMPETITION」グランプリに、鈴木雅子氏が立案した、映画祭開催地である沖縄県のCMが選ばれた。またスペシャル・メンションとして、1作目の映画『クロサワ映画』が、昨年の第2回沖縄国際映画祭で長編プログラムのゴールデンシーサー賞、"Laugh部門"海人賞グランプリの2冠を獲得した『クロサワ映画2』と、『ア・クレイジー・リトル・シング・コールド・ラブ(原題)』の2作品の名前が読み上げられた。
"Laugh部門"海人賞グランプリを受賞した『ア・クレイジー・リトル・シング・コールド・ラブ(原題)』も、受賞理由は「たくさんのきれいな映像とあたたかな笑いがあり、今だからこそ観たい作品になっているから」とのこと。東北地方太平洋沖地震を受け、チャリティーを目的に開催された同映画祭は、人々に希望を与える心温まる作品の選定で幕を閉じた。(編集部・島村幸恵)
映画『阪急電車』は4月23日より関西先行公開の後、4月29日より全国公開