中国でタイムトラベルの映画やテレビドラマが禁止に 理由は「歴史軽視」
中国でタイムトラベルを題材にした映画やテレビドラマが禁止されることになったとハリウッド・リポーターほか複数のメディアが報じている。元々検閲の厳しいことで知られる中国政府であるが、3月末に発行されたガイドラインより、「歴史の軽視」を理由に新たにタイムトラベルなどの条項が追加された。
ハリウッド・リポーター、CNNなどが報じているところによると、中国政府は、タイムトラベルを題材にした映画やテレビドラマを禁止した。現在中国では、タイムトラベルをテーマにしたテレビドラマがヒットしているため、そのことも含め大きな話題となっている。理由は「歴史の軽視」ということになっているが、今回の禁止措置の背景には、中国共産党が今年設立90周年を迎えることが大いに関係しているとみられている。フィクション作品とはいえ、現状に不満を抱く主人公が過去へ旅に出るという設定や過去の改変は、現在の政府への批判に当たるというものだ。
ハリウッド・リポーターは、禁止措置に対しての中国国内の反応として「エイプリルフールの冗談かと思った」という関係者の言を報じている。検閲の厳しい中国国内とはいえ、今回の措置については驚きの方が大きかったようだ。
元々中国では歴史ものが重んじられる傾向があり、タイムトラベルものはあまり作られることがなかった。今回の禁止措置がもしも国内に留まらず海外作品にも適用される場合、ハリウッド作品には映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズをはじめとするタイムトラベルものや時代改変もののヒット作が多く、現在でも多くの同種ジャンルの作品が制作されている。そのため、今後市場の拡大が見込まれていた中国でタイムトラベルものが禁止となればダメージを受けることは必至。今回の政府の措置は、思わぬところまで波紋を広げそうだ。(編集部・福田麗)