伝説のロックシンガー、オジー・オズボーンが登場!死んだ動物をステージの上に投げ込まれた話について語る!-トライベッカ映画祭
ブラック・サバスのヴォーカルとして独特な歌唱法や派手なパフォーマンスを披露してきたオジー・オズボーンが、トライベッカ映画祭(The Tribeca Film Festival 2011)で、彼を描いたドキュメンタリー作品『ゴット・ブレス・オジー・オズボーン(原題) / God Bless Ozzy Osbourne』について、ジャック・オズボーン、マイク・フレイス、マイク・ピサイテリらとともに語った。
同作は、40年前にブラック・サバスのヴォーカルとして人気を集めてから、現在までの活動を通してオジー・オズボーンのその個性的なキャラクターを描き、さらに近年行われたツアーや彼の家族、息子ジャック、娘ケリー、そして妻のシャロンらのインタビューなども含まれている。映画内で、オジーが酒や薬物に溺れた過去なども振り返っているのにも注目だ。オジーの息子のジャック・オズボーンはこの映画でプロデューサーを務め、マイク・フレイスとマイク・ピサイテリは共同監督としてメガホンを取っている。
製作経緯についてジャック・オズボーンは「イギリスで知り合いのパブリシストと夕食を共にしたさいに、彼からこれから何がしたいのかと尋ねられたんだ。僕はドキュメンタリーを制作したいと答えると、その彼はまず機材を揃えてから、とりあえず僕の父親を撮影してみたらと提案してきたのが始まりだった」と語った。その後ジャックは長年の友人であるマイク・ピサイテリに監督を委ね、さらにマイク・フレイスが共同監督として後で加わったことも教えてくれた。そしてジャックは「MTVのリアリティ番組『オズボーンズ』とは違った、真のオジー・オズボーンをこの映画で知ってほしい」と制作意図も明かした。
共同監督のマイク・ピサイテリは「おそらく1,500時間もの映像を撮影したと思うんだ。約2年分の映像で、その中にはインタビューした人たちに何度も戻ってきてもらったり、同じような質問をした映像などもあった。だから、そんなたくさんの映像を90分間にまとめると、周りのスタッフから『これはどうだい?あれはどうだい?』とさらにいろいろなアイデアを出されたよ」と編集するのにかなり時間が掛かったことを語った。
オジーのコンサートではステージの上で猫が殺されるというクレイジーなうわさがあったことについて、オジーは「これまでで最も驚かされたのが、その動物の問題を(メディアに)取り上げられたときだった。あれは全く制御できない状態だったね。それは、あるコンサート会場である人物に『あなたはこの町の人々をおびえさせていることに気付いているの?』と聞かれたときだった。当然のようにオレは『それはどういう意味だい?』と聞くと、その男はオレを外に連れ出して、観客が並んでいる列を指さしたんだ。すると、その列の中の一人の男が、すでに切り落とされた本物の牛の頭を肩に乗せていたんだよ!! その男はオレがこの牛の頭をステージの上でどうにかしてくれると考えていることが、オレには怖かったんだ! だからほとんどは、メディアにねつ造されたもので、その猫を殺すというストーリーも勝手にメディアがねつ造したものなんだ」と誤報であると答えたが、初期のソロ時代のオジーは、ステージの上から生肉を投げつけるという変わったファンサービスをしていて、それに対してファンは動物のレプリカを投げ返していたが、ある時から本物の死体が投げ込まれたことがあったのは事実で、この牛の事件もそれがかなりエスカレートしたものだったようだ。
この映画の感想についてオジーは「オレは、これまでとんでもない馬鹿野郎だったと思わされたよ! そういう(酒や薬物に溺れたりしている)状況下にいると、自分が全くわかっていない。客観視してようやく気付かされるんだ……。ただ、オレはまだこの場にいるからね!(笑)」と父親として、夫として家族とうまく過ごせなかった時間を見つめ直しながら、現在の家族環境には満足しているようだった。
映画は息子のジャックがかかわったことで、より親密なオジーの素顔が観られる作品に仕上がっている。現在62歳のオジーは、今も精力的に活動している。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)