GW映画の動員、興収は前年比8割程度に 『岳』が初登場首位でランキングの頂上に!
映画週末興行成績
最長で10日間にもおよぶ長丁場となった今年のゴールデンウイーク(以下、GW)だったが、震災の影響もあってか、今年の消費は「安・近・短」の傾向が色濃く、映画やカラオケなど気軽に楽しめるレジャーで休日を過ごした人が多かったようだ。
そんな中、震災の影響で休館を余儀なくされた映画館も、GWを前に続々と営業を再開している。しかし、川崎を含む東京エリアの洋画系91館でのGWの動員、興収は、前年比でおよそ8割程度の数字にとどまったという。昨年の同時期は『アリス・イン・ワンダーランド』というモンスター級のヒット作品があったため、単純な数字の比較はできないが、それでもまだまだ復興への道のりは始まったばかりだということなのだろう。被災地のライフラインが徐々に復旧し始めている今だからこそ、人々の心を癒すエンタメの底力が試されているように思われる。
今週は、小栗旬&長澤まさみ共演の『岳 -ガク-』が初登場首位。全国315スクリーンでの公開で、初日2日間の動員は20万8,416人、興収が2億6,465万6,200円というヒットスタートを切った。男女比は50対50で半々。年齢別では、20代が26.4%ともっとも高く、40代が20.9%、50代が18.4%と続いている。また4割の観客が原作コミックを読んだことのある読者だということで、鑑賞の動機として「感動できそう」が17.5%、「山を題材にした映画が好きだから」が16.2%、「原作が好きだから」が16.1%など、内容を期待するような意見が挙がっている。そういう意味では、今回のヒットの理由として、企画の勝利を挙げることも出来そうだ。
公開4週目の『名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)』は先週に首位からワンランクダウン。しかし累計動員は223万4,721人、累計興収は26億2,640万5,500円を記録。公開3週目の『GANTZ:PERFECT ANSWER』は3位でワンランクダウン。こちらの累計動員は169万241人、累計興収は20億8,911万7,200円。既公開作品は軒並みダウン傾向だった今週のベストテンの中で、先週の5位から4位と唯一順位を上げているのが、『八日目の蝉』。累計動員が51万1,018人、累計興収が6億514万9,100円を記録している。
公開4週目の『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦』は5位で2ランクダウンだが、興収10億円を突破した。トップ5作品を邦画が独占する結果となった。公開4週目となる『ガリバー旅行記』は6位で2ランクダウン。7位の『阪急電車 片道15分の奇跡』はワンランクダウンだが、作品評価も非常に高く、83スクリーンという小規模公開ながら、累計動員は44万7,149人、累計興収は5億5,524万5,400円を記録した。リーアム・ニーソン主演の『アンノウン』は8位に初登場。9位の『豆富小僧』は2ランクダウン。公開11週目を迎えた『英国王のスピーチ』は10位をキープし、堂々のロングラン。GW中も好調な推移を見せ、5月5日までの69日間の累計動員は126万7,890人、累計興収は15億2,736万7,900円。そして11位の『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』は惜しくもベストテン圏外に落ちてしまった。
今週末の公開作品は、『ブラック・スワン』のベストテン入りに注目。その他、『富江 アンリミテッド』『キミとボク』『スリー☆ポイント』『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』『少女たちの羅針盤』などが公開予定となっている。(ランキングなどは興行通信社調べ)(取材・文:壬生智裕)