ローマ・カトリック教会の組織「オプス・デイ」を創設したホセマリア・エスクリバーを描いた映画が完成!
映画『アメリカン・ビューティー』のウェス・ベントリーと、映画『カサノバ』のチャーリー・コックスが、新作『ゼア・ビー・ドラゴンズ(原題) / There Be Dragons』について語った。
同作は、ロンドンで記者として働くロバート・モーレスは、父モノロ(ウェス・ベントリー)が危篤に陥ったことで、過去に父がローマ・カトリック教会の組織「オプス・デイ」を創設したホセマリア・エスクリバー(チャーリー・コックス)と同じ街に生まれ、親友として同じ学校で学んでたことを知る。当時、スペインの内戦が起こる中で、ホセマリアは自分の信仰を貫き、その間モノロは戦士として戦いにのめり込んでいく。これまで映画『キリング・フィールド』や『ミッション』などを手掛けてきた監督ローランド・ジョフィがメガホンを取っていることも注目だ。
この映画では、「オプス・デイ」を創設したホセマリア・エスクリバーを描いているが、ウェスも信仰の厚い家庭に育ったそうだ。「僕の両親はメソジスト派の牧師で、僕の兄は伝道者で、祖父はエヴァンゲリスト(宣教師)だったため、宗教に囲まれた環境で育ったんだ。さらに僕は教会によく通っていて、小さいころから宗教に関する知識は豊富だったが、両親は単に牧師であるだけでなく、歴史にも詳しくて、この映画のために、僕が聞いた宗教上の質問にもいろいろ答えてくれたんだ」とこの映画にかかわるうえで、素晴らしい環境で学ぶことができたようだ。
映画内で「オプス・デイ」の草創期を描くことで、観客によっては引いてしまうという懸念は演じるうえであったのだろうか。「もちろん、すべての人を喜ばすことはできない。どんなことにも引いてしまう要素はあると思う。それに、ホセマリア・エスクリバー自体が、議論を醸す要素をいろいろ持っているからなおさらだ。ただ、この映画はあくまで『オプス・デイ』の草創期を描いていて、人によってはもっと『オプス・デイ』の議論すべき点を描くべきだと要求している人もいるくらいなんだ。ただこの映画の焦点は、ホセマリア・エスクリバーが戦時下の中で、いかに情熱と使命を持つことができたかが語られているんだ」とウェスが語った。
ウェスとの共演前に、前もってお互いの役柄について話し合ったのかとの質問に、チャーリーは「ウェスとはすぐに友人になることができた。俳優によっては、共演する俳優のキャラクター以外の情報を得ることを嫌う人もいるが、僕はそういうことをしないし、ウェスもそうだった。僕は、キャラクターの背景が脚本に書かれていないからといって、共演者とそのキャラクターの背景について全く話し合わないのは、演技をしているとは言えないと思う。もちろん、そうしている人を尊敬もするし、否定もしないが、そういう情報を嫌う人は、あまり舞台をやったことのない人だと思うんだ」と彼なりの俳優としての観点を語った。
監督のローランド・ジョフィについて、ウェスは「ローランドとはお互い集中して仕事することになった。チャーリーと僕の役は、子どもの時代から描かれているため、成長した役を演じる僕らは、撮影前の約1週間半で、この子どものころの役の背景を事細かにローランドから説明されたんだ。ローランドは僕らのどんな質問にも、彼の持つ多くの情報で答えてくれた。だから、僕もチャーリーの意見に賛成なんだけれど、セットではどんなことでも、オープンに話せる環境にあることがいちばん良いと思うんだ」と尊敬するローランドの演出に感動したことも話してくれた。
映画は宗教的な要素は含まれているが、ホセマリアとモノロの全く異なった道を選んだ男たちの険しい人生が、スペインの歴史と交錯させながら見事に描かれている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)