鈴木杏&高良健吾の官能的な濡れ場が話題 清純派・鈴木「エッチな映画を手当たり次第に借りて観ました」
「世界は二人を、愛さなかった。」そんなキャッチコピーが表す通り、世の中から軽蔑(けいべつ)されようとも互いへの愛を貫いた、切ない男女の物語『軽蔑』。主演を務める高良健吾と鈴木杏の激しいラブシーンも、公開前から話題を呼んでいる注目作だ。インタビューに応じた高良と鈴木が、撮影時のエピソードのほか、「例え世の中から軽蔑されても、自分の信じた道を進む」と自身の生き方について語った。
芥川賞作家・中上健次の遺作を映画化した本作。新宿・歌舞伎町で働くポールダンサーの真知子役で体当たり演技に挑戦した鈴木は、官能的な芝居をするために「色っぽい女性が出ている映画やエッチな映画を手当たり次第に借りて観ました」と告白。実際、劇中では映画『花とアリス』などで見せた清純なイメージとは打って変わり、大胆かつあでやかな姿を披露している。鈴木は本作のオファーが来たとき、監督が廣木隆一、共演者が高良であると聞いた時点で出演に前向きだったそうだが、原作を読んで「真知子ちゃんがあまりにも格好よかった。わたしも真知子ちゃんみたいになりたいと思った」と改めて出演を快諾したことを明かした。肌を見せることについても「たいしたことじゃなかった」とさっぱりした様子で振り返り、「お芝居って基本的に心情をさらけ出してするもの。気持ちは裸なので、自分的には(服を着るのも着ないのも)あまり大きな違いはないですね」と笑顔を見せた。
一方の高良は、役づくりをほぼせず撮影に挑んだそうで、「台本を読んで『このシーンではこういう気持ちなんだろうな』と思うことはありましたが、決めつけずに現場で感じたことを演じました」と振り返った。実際、撮影の合間に鈴木と雑談をすることはあっても、演技について話し合うことは一切なかったという。鈴木が「役の気持ちをつくって現場に行っても、全部廣木監督に壊された」と苦笑する通り、廣木監督の発するエネルギーやプレッシャーなど「現場感」を肌で感じながら撮影は進んでいったそうだ。
ところで実際の2人は、仮に世の中から軽蔑されても、自分が信じた道を迷わず進めるタイプだろうか? その問いに2人は声をそろえて「そうですね」と答える。「軽蔑されるかもしれないと思って、自分が信じていない方を選んだら後悔する。例え軽蔑されても、自分にうそをつかない方を選べば後悔しない自信がある」(高良)「役者として表舞台に立つと、いいことも悪いことも言われる。けれど、それを覚悟で役者をしているので、自分の信じた道を進んで行けると思います」(鈴木)と穏やかな表情ながら芯の強さを感じさせるコメントをし、演じた役柄の面影をのぞかせた。
「2人の愛の貫き方は痛々しいけどすごく美しい。周りに軽蔑されようが、自分を信じて行動した結果が2人の愛の形。そこを観てほしい」と高良が語れば、一方の鈴木も「(高良演じる)カズさんも真知子ちゃんもその瞬間を全力で生きていて、わたしはすごくその姿に励まされた。明日何が起こるかわからない世の中で、今この瞬間を全身全霊で愛して生きなくちゃいけないと皆さんにも感じてもらえると思う」と語る通り、『軽蔑』はただの恋愛映画ではなく、現代社会への強いメッセージが込められた作品であることがうかがえた。
映画『軽蔑』は夜の街で欲望のままに生きる男と、孤独なダンサーが、命をかけて激しく愛し合う姿を描くラブストーリー。愛し合うものの引き裂かれていく、純粋で不器用な男女の愛をリアルに映像化した。(肥沼和之)
映画『軽蔑』は6月4日より角川シネマ新宿・角川シネマ有楽町ほか全国公開