ユアン・マクレガーを直撃!70歳の父親からゲイであることを告白された息子を演じる!
映画『トレインスポッティング』や『ムーラン・ルージュ』などで迫真の演技を披露してきたスコットランド出身の俳優ユアン・マクレガーが、新作『ビギナーズ(原題) / Beginners』について語った。
同作は、母親が亡くなってからしばらく経ったある日、オリヴァー(ユアン・マクレガー)は、父親ハル(クリストファー・プラマー)から末期がんを患っていて、ゲイで男の恋人がいることを告白される。突然の告白によって、これまでとは違った環境になっていく中で、オリヴァーは家族愛を見つめ直していく作品。オリヴァーの恋人役に、映画『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロラン、監督は映画『サムサッカー』のマイク・ミルズ監督が務めている。
まずこの映画は、監督のマイク・ミルズに実際に起きた自叙伝的な要素が含まれている。実際に母親が亡くなり、ゲイであると実の父親が70代で告白したそうだ。だが、なぜそんな30年以上もの長い間、映画の設定のようにマイクの両親は結婚生活を送れたのだろうか。ユアンは「(マイクの)両親が長い間結婚生活を送れたのは、結婚に必要なレベルのパートナーシップを彼ら二人が持ち合わせていたからだと思う。僕はあくまで、たまたまそこに機能した結婚があっただけだと思っているんだ。マイクは、僕に実の父親と母親のことを好んで話してくれた。この映画では、母親がもう周囲に居なくて、回顧する形で母親との関係が描かれている。実際にマイク自身は、ゲイであると告白してからの父親のほうが、抑圧されていた性生活を送っていた過去よりも、感情的に接しやすく、今を生きている感じがしたと話してくれたんだ」と述べた後、性が抑圧された時代では、今のようにゲイであることをカミングアウトするわけにもいかなかったはずだとも語った。
映画『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐で名をはせ、その後も映画『インサイド・マン』や『終着駅 トルストイ最後の旅』などで活躍している伝説の俳優クリストファー・プラマーとの共演について「本当に素晴らしかったよ! 人としても、俳優としてもね! (セットで)彼は僕に過去に共演した人たちのストーリーを話してくれたよ。特にハリウッドで、1950~60年代に活躍した我々も憧れる人々たちとの仕事をね。けれど、(僕が予想していたよりも)彼はもっとモダンな俳優なんだ。それは、僕がクリストファーと共演していたさいに、彼は晴らしい演技を披露しているが、年配の俳優という意識を僕に全く感じさせなかったからなんだ。だから、(共演したときは)まるで本当の僕の父親のように感じることができたんだよ」と尊敬する俳優との共演を喜んでいた。
ゲイの結婚をサポートするかについては「もちろんだ! それが問題になるのが僕にはわからない。なぜ僕らは、もっとゲイの結婚をサポートしないのかもわからないね。結婚は、お互い二人の愛し合っている人たちの結束だからね。それだけなんだ! だから僕は人の性に関して、決して先入観を持ったことはないよ」と語る彼は、プロダクションデザイナーの奥さんエヴァと、およそ16年間結婚しているそうだ。
映画はそれぞれが持つ個人の性を通して、新たな親子関係を見つめ直した映画に仕上がっている。マイク・ミルズの個性的な演出と、クリストファーとユアンのまるで本物のような親子関係に注目だ。最後に、これからバイクの旅行を計画していることもユアンは明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)