リュック・ベッソン監督、フランス映画祭団長として1年ぶりの来日!「日本人への変わらぬ友情を表したい」
23日、今年で19回目を迎えるフランス映画祭の記者会見が有楽町朝日ホールにて行われ、団長を務めるリュック・ベッソン監督が、映画祭を主催するユニフランスの代表レジーヌ・アッチョンドと共に出席。東日本大震災の影響で外国人スターの来日キャンセルが相次ぐ中、映画『アデル/ファラオと復活の秘薬』のプロモーション以来、約1年ぶりの来日を果たしたベッソン監督は、「『苦しいときこそ、真の友人が誰かわかる』という格言があります。本当に多くのフランス人が、日本人と同じ気持ちだということを伝えたい。日本の皆さんへの変わらない友情を表そうと思い来日しました」と日本へ熱いメッセージを送った。また、会見後に行われたオープニングセレモニーには、オタール・イオセリアーニ監督、ジャン=ポール・ジョー監督、ジャン=ピエール・アメリス監督、レベッカ・ズロトヴスキ監督、俳優のジュール・ペリシエらも加わり、華やかに幕を開けた。
東日本大震災の影響で、一時は開催の行方が心配されていた本映画祭。今年は震災復興支援のためのチャリティータンクトップが販売されるほか、2010年9月12日に80歳でこの世を去り、“フランスのヒッチコック”とも呼ばれた故クロード・シャブロル監督特集、写真展などのイベントも開催。また、今年は入場料収益の一部が、公益社団法人CIVIC FORCEを通じて被災地復興支援のために寄付される予定となっている。
会見場に現れたベッソン監督は、開口一番、震災のショックに揺れる日本人へ励ましのメッセージを熱弁。「東日本大震災に対して、日本人の方々は素晴らしい落ち着きを見せて、世界に深い感銘を与えました。同じことがフランスで起きたら、みんなパニックになって、お互いにトマトを投げ合っているかもしれません」と日本人を称えた。そして、「フランスの原子力発電所でも、数年内に同じことが起きるのではと危惧(きぐ)しています」と原発大国として知られる故国に対する複雑な思いも吐露した。
また、本映画祭のオープニング作品は、ベッソン監督自身が監督・脚本・原案・製作を務める『アーサーとミニモイの不思議な国』『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』に続く『アーサー』シリーズの第3弾、『アーサー3(仮)』となっている。本作についてベッソン監督は「この作品はエコロジーが大切なテーマとなっています。これからの地球を担う子どもたちに正しいメッセージを伝えるのは大切なこと。皆さんを元気にするような作品を携えて来日できたことをうれしく思います」とアピールしていた。
「フランス映画祭2011」ではドラマやコメディー、アニメやドキュメンタリーなど幅広いジャンルで構成されたフランス映画の長編12作、短編6作(1プログラム)の全13プログラムを上映予定。ヴァネッサ・パラディとロマン・デュリスという2大スターが初共演を果たしたコメディー『ハートブレイカー』や、『未来の食卓』のジャン=ポール・ジョー監督が贈る、日本とフランスで環境を守る人々の姿を追うドキュメンタリーで原子力発電所の問題にも触れている『セヴァンの地球のなおし方』など、魅力的な作品群が並んでいる。ジョー監督は今回の来日時、本映画祭参加前に新作ドキュメンタリー撮影のため福島県と祝島を訪問しており、壇上で「原発絶対反対」と書かれたハチマキを身に着けるパフォーマンスを行って会場を沸かせていた。(古河優)
「フランス映画祭2011」は6月23日から26日まで有楽町朝日ホール(メイン会場)、TOHOシネマズ 日劇(レイトショーのみ)ほかにて開催