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「電力会社の広告に携わった作家たちは反省を!」福島原子力第一発電所事故をテーマにした「フクシマ・アニメーション」を一般公募

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「フクシマ・アニメーション」公募ポスター
「フクシマ・アニメーション」公募ポスター

 今秋に開催される第11回ラピュタアニメーションフェスティバル2001(主催:ラピュタ・アニメーションフェスティバル実行委員会)が今年新たに福島原子力第一発電所事故をテーマにした「フクシマ・アニメーション」を一般公募することをこのほど発表した。

 同フェスティバルは、日本のアニメーション作家の育成・発掘を目的に、2000年からスタート。東京・阿佐ヶ谷の映画館ラピュタ阿佐ヶ谷をメーン会場に、期間中、国内外の作品上映やワークショップ、若手作家との交流会などを開催してきた。

 そのアニメのお祭りにフクシマをテーマにした作品を募集することに決めたのは、東日本大震災が起こった3.11から2週間後のことだったという。才谷遼事務局長は「最初は呆然とニュースを見ていたが、自分たちが携わっているアニメーションがどう応えることができるのか? と考えるようになった。これだけ意識が変わらざるをえない出来事が起こり、モノづくりにかかわる人間はそれを作品に反映すべきだし、発信する必要があると思った」と決断の理由を語った。

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 才谷氏は漫画家&編集者、そしてラピュタ阿佐ヶ谷とアート・アニメーションの小さな学校の経営者など多彩な顔を持つが、反原発論者としても漫画界では知られている。特に、電力会社は昔から、原子力の安全性をマンガ広告という手法で分かりやすく、かつ、親しみやすさをアピールしてきた歴史があり、漫画界と原子力の繋がりは深い。そこに才谷氏は問題提起し、1986年にチェルノブイリ原発事故が起こった長後には、「図説 危険な話 --不思議で不安な原子力発電のこと」(復刻版が発売中)を出版し、日本の原子力開発に警鐘を鳴らすと同時に、推進広告に加担した仲間たちを糾弾してきた。才谷氏は「広告の仕事は結構な収入になるから、彼らの気持ちも分かるが。でも本来、漫画は子どもたちのものであって、その子どもたちに近いところでモノづくりをしている作家たちは、普通の大人たち以上に子供の未来を考えているはずなんだけどね」と疑問を投げかける。

 また1998年にオープンしたラピュタ阿佐ヶ谷の屋上には、風力発電とソーラーシステムを設置して自然エネルギーを取り入れるなど、原子力に頼らない生活にもチャレンジしている。才谷氏は「だからウチの映画館では大林宣彦監督の作品は一切上映しないの。彼は九州電力のCMに出演していたからね。でも実際お会いしたら、良い人なんだよなぁ(苦笑)。それに風力とソーラーで起こした電気を合わせても、劇場運営の1%ぐらいしか賄えない。エコは金持ちの道楽なんだな。実際は難しいですね」と、理想と現実の間で苦悩していることをも赤裸々に明かす。

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 しかし、福島第一事故後、ドイツに引き続きイタリアが脱原子力政策を決めたことも刺激になったようだ。才谷氏は「外国の方が反応してくれているのだから、東京からも何かを発信することが重要だと思う。アニメだけでなく、漫画でもフクシマをテーマにした作品を集める予定で、かつて電力会社の広告に携わった作家たちには反省漫画を書かせるつもり。そのウチの一人で、いまだ何も謝っていない松本零士にもぜひ参加して欲しいですね」と、呼びかけている。(取材・文:中山治美)

 フクシマアニメーションの応募締め切りは8月末まで。

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