4人の登場人物で構成!国内・海外で高評価の映画『ふゆの獣』がついに日本で劇場公開!!
2日、テアトル新宿にて、第11回東京フィルメックス最優秀作品賞を受賞した映画『ふゆの獣』の初日舞台あいさつが行われ、出演者の加藤めぐみ、佐藤博行、高木公介、前川桃子、そして内田伸輝監督が登壇。各界で絶賛された作品の製作秘話が語られた。
内田監督は、本作の前にもドキュメンタリー映画『えてがみ』でPFFアワード2008審査員特別賞、長編映画『かざあな』で第8回TAMA NEW WAVEグランプリを受賞している実力派。そして今作では、製作費110万円、SNSサイトで役者を募り撮影期間14日という条件の中、ロッテルダム国際映画祭2011ではコンペティション部門に招待され、チケットは連日ソールドアウトとなるほどの評価を得た。「製作費に関しては、自主映画なので、その時点で必要な経費を使っていって、最終的にこの金額になったので、最初から予算を決めた映画ではないんですよ」と内田監督は実情を吐露。またスタッフに関しても「基本1カメ(カメラ1台)のときはぼくが撮って、あとはスチール&2カメ兼務の人間と、音声の3人だけ」ということで、キャストの4人を足しても7人での映画制作だったと振り返る。
そんな内田監督の演出方法は、大まかなプロットだけで、脚本はなし。役者にはキャラクターの背景を丁寧に伝え、あとは自由に演じてもらうというものだった。ユカコ役の加藤は舞台女優としてのキャリアを持つが「アドリブが苦手なので大変でした。特にユカコという役は、自分にない感情をいっぱい持っているの人だったので、4か月かけてじっくり役作りをしました」と撮影当時を振り返る。
また男性陣の佐藤と高木はともに、SNSサイトmixiでの役者募集で抜擢されたのだが、どちらも「内田監督は以前から知っていて、ぜひ作品に出たかった」と応募したきっかけを熱く語る。
浮気相手として辛い恋愛をしているサエコを演じた前川は「撮影当時は自分の気持ちを信じて突っ走る役柄は、自分的には辛かった」と心境を述べたものの「たくさんの人にこの映画を観てもらえることはとてもうれしい」と後半には笑顔。
最後に内田監督が「今日がスタートです。この映画を観て良かったと思ったら、たくさんの人に伝えていただいて、映画館に足を運んでほしいです」とアピールすると、会場からは大きな拍手が巻き起こった。
本作は、たった4人の登場人物で構成され、プロットとキーとなるセリフだけで脚本なしという手法で撮影。その演出によって生じたむき出しの本能が、激しくぶつかりあうことにより、暴力的でありながら美しい恋愛映画へと仕上がっている。(磯部正和)
映画『ふゆの獣』はテアトル新宿にてレイトショー公開中