トム・クルーズの従兄弟、ウィリアム・メイポーザーが主演!サンダンス映画祭で審査員特別賞を受賞した新作『アナザー・アース』
今年のサンダンス映画祭で審査員特別賞を獲得した話題の新作『アナザー・アース(原題) / Another Earth』について、人気テレビドラマ「Lost」で謎の男を演じて注目を浴びたウィリアム・メイポーザーが語った。
同作は、もう一つの鏡写しの地球が上空に現れ、運転中にそれを見上げていたMITの大学生ローダ(ブリット・マーリング)は、誤ってミニバンと衝突事故を起こして死者をだしてしまう。ローダは4年間刑務所で服役した後、その事故で唯一の生存者だった作曲家のジョン・バローズ(ウィリアム・メイポーザー)に会いにいくが、そこには予想もつかない出来事が待っていたというドラマ作品。監督は、この作品がデビュー作となるマイク・ケイヒルで、脚本も主演女優のブリット・マーリングと共同執筆している。
出演の経緯について「2009年にニューヨークでシェークスピアの公演をやるための準備をしてからロサンゼルスに戻ってきた際に、この脚本をエージェントから渡されたんだ。そのエージェントは、監督にとってはこれが初監督作で、主演の女優はSAG(米映画俳優組合)にさえ所属していないと言われたんだ。だが脚本を読んでみると、ものすごく興味深いコンセプトだと思ったんだよ。このキャラクターは僕がこれまで演じたことのないものだった」とすぐに脚本を気に入ったようだが、「ただ僕の出演するシーンには、もう少し変化が必要だと思って、彼ら二人(ブリットとマイク)とサンタモニカで会って、それから約1週間半かけて脚本を改稿しながらリハーサルなどもしたんだ。だから撮影に入る時は、お互いの関係が深まっていたんだ」と全くの無名の二人ではあったが、ウィリアムはその才能を見抜いたようだ。
今回、この映画でウィリアムが演じた作曲家のキャラクター設定について「このキャラクター、ジョンの感情からもたらされる行動や態度はほとんど僕に任されたんだ。ただ、主演のブリットと監督のマイクとも話し合い、この箇所でこのようなジョンのリアクションは、まだ時期的に(家族を失ったために)早いなどの相談をしていったんだよ。もし仮に、このキャラクターが金融関係の仕事をしている設定でオフィスで仕事をしていたら、家族が亡くなってから4年もの間に悲しみを抜け出す努力をしていたはずだ。だが、この映画では作曲家であるためによりセンシティブで、さらにその音楽を通して後にブリットへの想いを伝えていくんだよ」と難しい役であるジョンのキャラクターについて説明した。
そんな演技にこだわってきたウィリアムだが、彼は俳優としてだけでなく、インディペンデント系のフィルムメイカーの資金を集めるSlatedという会社を設立している。「実は僕の会社Slatedは、国内の映画祭のスケジュールのホストをするサイト、B-sideを買収して、そのB-sideのサイトでは、これまでどの映画祭でどの映画が見られるかだけでなく、映画の予告編も流していたんだ。だが、このサイトを使って新たにインディペンデント・フィルムメイカーのための製作資金を集める活動をし始めたんだ」と興奮気味に語り、さらにその内容については「実はアメリカの国内には、映画の資金を出してくれる医者や弁護士がたくさんいるんだよ。だが大概のインディペンデント・フィルムメイカーやニューヨーク大学の映画学部で学んだような連中も、どのように製作資金を集めて映画を製作したら良いかわかっていないんだ。だから僕らは、これからはインディペンデントの短編などをこのサイトに載せて、それを観た人が製作資金を提供したければ、幾らでもできるような形にしようと思っている。だから人によっては、10作品もの制作資金を出すこともできるわけなんだ」と若手のフィルムメイカーを助力するためのプラットフォームを提供しているようだ。
最後にウィリアム・メイポーザーはハリウッドの大スター、トム・クルーズの従兄弟で、トムが出演する作品にも数多く出演してきたが、以前にトムのことについて聞かれたときに、自分が話していないことまでを記事にされ、問題になったことがあるらしく、トムのことについて聞かれると慎重になってしまうと話していた。ウィリアムは演技に関してはトムに劣らぬ魅力を持っているだけに、今後どのような活躍をしていくのか楽しみだ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)