寺島しのぶ、小泉今日子、渡辺えり、鈴木杏、池谷のぶえ、神野三鈴、麻実れいの豪華すぎる競演!!正真正銘の「トップ・ガールズ」が大集合!
寺島しのぶ、小泉今日子、渡辺えり、鈴木杏、池谷のぶえ、神野三鈴、そして、麻実れいの豪華競演が話題となった舞台「トップ・ガールズ」が、8月26日にWOWOWにて放送されることが決定した。「このメンバーの顔が並んだ公演チラシを“魔よけ”と言っている人もいたんです(笑)。“玄関に貼っておくと、悪いものが来ない”とけいこ場で笑い合っていました」と演出の鈴木裕美が語るとおり、本作に出演しているのは、それぞれがメインアクトして多くの舞台を牽引(けんいん)しているメンバーばかり。これだけインパクトのある女優が集合したけいこ場は、“いろんな意味で、男らしい”現場だったようだ。
マーガレット・サッチャーが英国初の女性首相として登場した時代に、イギリスの女性劇作家キャリル・チャーチルによって書かれた本作は、女性首相を輩出した国でありながら、まだまだ性差によって苦悩する女性たちのいた当時の社会の実情を投影。その斬新な演劇スタイルと共に、当時の英国社会にセンセーションを巻き起こした。しかし、女性をめぐる社会環境も職業意識も大幅に変化した現代でも、本作のテーマは、観客の心にタイムリーな問題として、訴えかけてくる。それは、鈴木がここで描かれるキャリアウーマンたちの苦悩や闘いについて、「悲しいことに、1982年に描かれている戯曲をそのままやっても、現代で大丈夫なんですよね」と語るとおりだ。実際、演出家と女優のみならず、照明家以外のデザイナーやスタッフ陣のほとんどが女性ばかりだったというけいこ場では、連日かしましいガールズ・トークの中で、本作のテーマについての多くのディスカッションが繰り広げられたという。
物語は、男性社員との熾烈(しれつ)な出世競争に打ち勝ち人材派遣会社の重役に昇進したキャリアウーマン、マーリーン(寺島)を祝うパーティから始まる。そこに集う顔ぶれは、英国でも名高い女性探検家イザベラ・バード、後深草上皇の女房として仕えたのち出家し修行の旅に出た「とはずがたり」の著者・二条、後期ルネサンスを代表する農民画家ブリューゲルが描いた「狂女フリート」のモチーフとなっている女性フリート、男装してローマ法王の座に就いたとされる法王ヨハンナ、ジョバンニ・ボッカッチョの物語集「デカメロン」に登場する従順で貞淑な妻・忍耐強きグリゼルダという生まれた国も時代も異なる歴史上・芸術作品上の“トップ・ガールズ”ばかり。その奇抜な設定はやがて、人材派遣会社でのマーリーンや同僚たちの仕事ぶり、実家に暮らす姉との関係へと舞台を移し、マーリーンの光と影を浮き彫りにしていく。そのような設定のため、各シーンを通して登場する主人公のマーリーンを演じた寺島以外のキャストたちが、どこか共通点のある一癖も二癖もあるキャラクターを、1人2役、3役務めているところも、本作の魅力となっている。また、終盤のハイライトともいえるマーリーン(寺島)と姉ジョイス(麻実)の緊迫感に満ちた舌戦は、肉親だからこそぶつけ合う愛と憎しみのありさまが切なくもあり、いとおしくも感じられる。2人の女優の信頼関係があってこそ成立する名場面だ。
鈴木は、「見どころはなんと言っても、素晴らしい俳優たちが本気で演じているところ。劇中の16役の女性たちは、わたしたちの等身大の姿ともいえる女性たちです。俳優を通していろいろな女性像を見ていただきたいですね。ラストシーンは、これまで生きてきたさまざまな女性たちの夢や祈りが、“見ているから頑張ってくれ”と、現代を生きているわたしたちの肩に、そっと降り積もるイメージ」と語る。1982年、イギリスでの初演のキャストたちのあて書きといえる役柄を、日本の演劇界の“トップ・ガールズ”たちが自分のものにし、その演技力を戦わせた演劇合戦、終始“ガールズ・トーク”で展開される女性だけの舞台は、“トップ・ガールズ”たちのパワーに満ちあふれた作品に仕上がっている。(編集部・島村幸恵)
舞台「トップ・ガールズ」は8月26日(金)WOWOWにて放送