オタクの祭典についに巨匠スピルバーグ初登場!場内スタンディグオベーション!ピーター・ジャクソンと共に『タンタンの冒険』語る
コミコン2日目、最大のホールHで、『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』のパネルに、スティーヴン・スピルバーグとピーター・ジャクソンが登場し、ファンたちを狂喜させた。スピルバーグはビデオ映像でコミコンに登場したことはあるが、本人が参加したのはこれが初めて。スピルバーグのヒット作を集めたクリップが上映され、会場が大いに盛り上がったところで、彼が壇上に現れると、スタンディングオーベーションとなった。
フィルム撮影にこだわり続けているスピルバーグが、今回デジタル撮影を試みたわけだが、彼が「タンタンの冒険」をモーション・キャプチャーで撮ると決めたきっかけとなったテスト映像が上映された。これは、ピーター・ジャクソンの特撮工房WETA DIGITALで6年前に撮影されたもので、「タンタン」のキャラクターの一人、ハドック船長にふんしたピーター・ジャクソンが、カメラに向かって話している背後を、犬のスノーウィーがうろうろしており、そのうち、お酒を飲んで酔っぱらい、海に落ちてしまうというコミカルなもの。
このテストフッテージの上映後、サプライズ・ゲストとして「タンタン」のプロデューサーであるジャクソンが登場。映画界の二大巨匠が並ぶ豪華なプレゼンテーションとなった。「タンタン」の原作にいつ出会ったかという質問に、スピルバーグは「フランスの批評家に、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を『タンタン』と比較されて知った。すぐに本を入手したが、フランス語を読めなくても、アートワークを通して、ストーリーやキャラクターに恋してしまった。『タンタン』と『インディ・ジョーンズには通じるものがたくさんある』とコメント。一方、ジャクソンの方は、「まだ字を読めるようになる前、5、6歳のころから『タンタン』の本を見始めた」と言う大ファンだ。
映画の中のいくつかのシーンを3Dで披露してくれたが、男が、ドア越しに、タンタンの身に危険が迫っていると告げた直後、銃弾がたくさん打ち込まれるシーンや、ハドック船長とタンタンが初めて出会うシーンなどが3D上映された。スピルバーグとジャクソンの狙い通り、エルジェのキャラクターに忠実でありながら、実写かと思えるようなリアルさを感じさせるものになっていて見事だった。
初めてモーション・キャプチャーを使ったスピルバーグは、「モーション・キャプチャーは、すべての映画に適切なわけじゃないけど、この作品にはピッタリだった。実写では出来ないことを可能にしてくれる」と語り、昔8ミリ映画を撮っていた時のように、自分自身でカメラを回したという。
次に、観客とのQ&Aに移った後、最初に質問した男が、アンディ・サーキスで観客が爆笑。「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムやキング・コングを演じたサーキスは、今回ハドック船長を演じている。
「ジュラシック・パーク」の続編について訊かれたスピルバーグは、「気に入ったストーリーがあり、ライターもいる。2、3年後には作る予定」と明かした。 一方、ジャクソンは、すでに60日間撮影した「ホビット」の撮影があと200日ほど残っていると言うが、ホラー映画をまた作らないのかという質問に、「すでにアイディアはある。また、作りたい」と語った。
ちなみに、「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」がうまくいけば、シリーズ2本目は、ジャクソンが監督することになっている。パネルがもっとも盛り上がったのは、一番最後に「もし可能なら、スティーヴン・スピルバーグに会って、握手して、ありがとうと言いたい」と胸に書かれたTシャツを着た若い男性が登場したとき。スピルバーグは、その男性を手招きして壇上に呼び、彼と握手しているところを、ピーター・ジャクソンが横から撮影。観客から大きな拍手が送られた。(取材・文:吉川優子 / Yuko Yoshikawa)