『トランスフォーマー』完結編を引っ提げて来日のマイケル・ベイ!シリーズ大成功の秘密を明かす
6月29日の全米公開後、世界中で9億ドル(約720億円:1ドル・80円計算)を超えるメガヒットを記録している『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』のキャンペーンで来日を果たしたマイケル・ベイ監督が、洪水のようにあふれ出すという自身のイマジネーションを映像化するまでのノウハウを語りながら、シリーズが大成功を収めた最大の理由は、スタッフの献身にあると感慨深く語った。
映画『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』写真ギャラリー
本作は、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、マイケル・ベイ監督、視覚効果をILMが担当するSFアクション超大作シリーズ第3弾。善と悪に分かれた金属生命体(トランスフォーマー)がバトルを展開していくアクション娯楽巨編だ。トランスフォーマーの起源に迫る完結編である本作では、これまで以上に前代未聞のビックリ映像のオンパレード。ロボットたちが「生命体」であることが特に重視されており、彼らのよだれや血液がほとばしっているように見える生々しい表現や、主人公サムの相棒・バンブルビーの変形する勇姿を、得意のスローモーションを使ってじっくりと見せるなど、ベイ監督の得意満面の笑みが脳裏に浮かぶ斬新な表現が満載だ。
「僕はひたすらヘッドホンで音楽を聴きながら、イメージするアクションシーンをすべて書き出すのさ」と自信たっぷりに製作の過程を語るベイ監督。ただ、映画のすべてを自分で発案するのではなく、「6年間同じチームでやっているけれど、オフィスの中にも小さなチームが常駐していて、一緒に……9か月ぐらいかな? 最初はとてもラフなアニメーションを作ってロボットの動かし方を決めているのさ」とチームワークを駆使して、アイデアをまとめていると告白。「時々は、そのラフな状態のアニメーションと完成したシーンが、ほぼ同じということもある」と自分のチームがいかに優秀なメンバーであるかを熱く語った。
オレ様監督のイメージが強いベイ監督だが、「アニメーターがクールなアイデアを出すこともある。僕らはとてもチームワークがいいよ。スタッフも『トランスフォーマー』の大ファンだからね」と一スタッフの意見も採用するという度量の広さ! フィナーレを迎える本シリーズの一番心に残る思い出としても、「最高のスタッフたちと一緒に、6年という間働けたことだね」とコメントした。そして、「仕事はいつもスムーズに進み、まるで一つの大家族のようだった」と心なしか遠くを見つめるベイ監督。「バンブルビーがそこに立っている!」と興奮した撮影初日のことを今でも覚えているそうで、「いい大人が、大勢の人間の前で『バンブルビー』って……本当にバカみたいだけれど、今やバンブルビーは(大人のファンからも)崇拝されているほどさ」としみじみ回想した。
宇宙やアメリカ近代史を絡めた重厚なストーリーに、ジェームズ・キャメロン監督も大絶賛の3D映像、人類の存亡をかけたシカゴでの一大戦争など、あらゆる面においてスケールアップを果たした『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』。ベイ監督自身、「最高傑作だ!」と言ってのけ、「6年間かけて3本のシリーズ作品を生み出してきたけれど、今回はストーリーもビジュアルも抜群に素晴らしい!」と改めて猛アピール。それもこれも、「このシリーズには3,500人のスタッフがかかわっていた。とても複雑で大変な作業の数々も、楽しみながらできたよ。時にはどなりまくったりもしたけれど(笑)、これは僕らの血と涙と汗の結晶なのさ」と胸の内を明かしながら、スタッフの献身に感謝していた。シリーズ初期には主演のシャイア・ラブーフとぶつかり合い、また前作までのヒロイン、ミーガン・フォックスと確執を生むなど、オレ様監督の名に恥じぬ逸話が漏れ聞こえたベイ監督。この6年間でもっとも「トランスフォーム」したのは、感謝の言葉を絶やさない、丸くなった(?)監督自身かもしれない。(取材・文・写真:鴇田崇)
映画『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』は7月29日全国公開