『コクリコ坂から』手嶌葵が熱唱し1,000人を魅了!被災地訪問時エピソードを披露し涙ぐむ場面も
21日、歌手の手嶌葵が現在公開中のスタジオジブリ最新作『コクリコ坂から』の公開記念コンサートを神奈川県立音楽堂にて行い、本作の主題歌を含む17曲を熱唱して約1,000人の観客を魅了したほか、東日本大震災の被災地を訪問したときのエピソードを披露し涙ぐむ場面があった。
2006年公開の映画『ゲド戦記』で主題歌・挿入歌とヒロインの声優に抜てきされ注目を集め、その後も米ドキュメンタリー映画『北極のナヌー』の日本語版主題歌「奇跡の星」や日本映画『西の魔女が死んだ』の主題歌「虹」を担当するなど活躍。そして今回の映画『コクリコ坂から』で再びスタジオジブリ作品の主題歌と声優を務め、映画と縁が深い歌手としても知られる手嶌。
この日、ピンクの清楚(せいそ)なワンピース姿で登場した手嶌はまず「エスケープ」「朝ごはんの歌」の2曲を披露した後「今日は緊張しすぎずに、最後までがんばりたいと思います」と初々しくあいさつ。映画『コクリコ坂から』で使用する曲のほか、映画『ゲド戦記』の主題歌となった「テルーの唄」や、映画『魔女の宅急便』の主題歌「やさしさに包まれたなら」、自身がスタジオジブリに起用されるきっかけとなった曲「The Rose」などを情感たっぷりに歌い上げた。曲やトークの途中に、時折客席にいる小さな子どもが騒いでしまう場面があったが、手嶌は「子どもの声を聞くのは幸せなことですね」と嫌な顔もせずにっこり。そして泣き叫ぶ子どもに「泣かないでね~、あとちょっとやけんね~」と優しく語りかけて客席を温かい笑いで包んだ。
また、中盤のトークでは鈴木敏夫プロデューサーが登場し、映画『コクリコ坂から』の音楽を担当し、この日はピアノ演奏も担当していた武部聡志を交えて3人でトークをする場面も。手嶌の歌う姿を見ていた鈴木プロデューサーは、「歌い手としての成長を感じたね」としみじみ。さらに手嶌に「幸せそうだけど、誰かいい人できたの?」と聞いて、手嶌に「いい人は、みなさんです……」とかわされていた。
アンコールで手嶌は、東日本大震災が起こって以降、多くの日本人を励ましている坂本九の名曲「上を向いて歩こう」を歌った後に、被災地となった岩手県の高校を訪れて歌ったときのエピソードを披露。「とても喜んでくれて、後でお礼の手紙をくれて。なんて優しい……」と号泣し「彼らとここにいるみなさんのためにもう一曲歌います」とこの日2度目となる「さよならの夏~コクリコの坂から~」を最後に熱唱。その癒しムードあふれる歌声同様に、手嶌の優しく純粋な人柄がにじみでるコンサートとなっていた。
映画『コクリコ坂から』は少女漫画雑誌「なかよし」に連載された同名コミック(作画:高橋千鶴、原作:佐山哲郎)を宮崎駿が企画・脚本、宮崎吾朗監督が映画『ゲド戦記』以来2度目のメガホンを取って映画化した青春映画。1963年ころの横浜を舞台に、高校2年生のヒロイン・海(声:長澤まさみ)と少年・俊(声:岡田准一)の青春、そしてその親の世代の青春を通し、戦後の復興期と高度成長期の中で生きる日本人の姿を描き出す。(古河優)
映画『コクリコ坂から』は東宝系にて全国公開中