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『プレシャス』の主演女優ガボレイ・シディベとレニー・クラヴィッツの娘で女優のゾーイ・クラヴィッツを直撃!ベルリン国際映画祭の金熊賞を争った作品とは?

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(左から)ガボレイ・シディベ、ヴィクトリア・マホーニー監督、ゾーイ・クラヴィッツ
(左から)ガボレイ・シディベ、ヴィクトリア・マホーニー監督、ゾーイ・クラヴィッツ

 映画『プレシャス』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたガボレイ・シディベと、歌手レニー・クラヴィッツの娘で女優のゾーイ・クラヴィッツがタッグを組んだ話題の新作『イェリング・トゥー・ザ・スカイ(原題) / Yelling to the Sky』について、ヴィクトリア・マホーニー監督とともに語った。

 同作は、女子高生スウィートネス(ゾーイ・クラヴィッツ)は学校でいじめられ、さらに帰宅すればアル中の父親の家庭内暴力におびえながら暮らしていたが、そんな絶望的な環境を打開するために、自ら強くなる意志を固めていくというドラマ作品。父親が白人、母親が黒人という混血の少女の苦悩が描かれ、これまで女優業をしていたヴィクトリア・マホーニーが監督デビューを果たしている。ガボレイ・シディベは、ゾーイが演じたキャラクター、スウィートネスをいじめる女子高生役を演じている。ちなみに、この映画は第61回ベルリン国際映画祭の金熊賞を争った作品でもある。

 このタイトルをつけた経緯についてヴィクトリア・マホーニー監督は「わたしの母親は父親から家庭内暴力を受けても、その当時の母親は父に対して立ち向かったり、闘ったりしなかったの。でも、彼女は決してわたしたち子どもの前では泣かずに、母親としての威厳を保っていたわ。けれど、そんな彼女が時々空を見上げながら涙をこらえている姿をわたしは覚えていて、そのときの彼女の内面を示したものが、この映画にタイトルになっているの」と明かした。

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 ガボレイ・シディベは、前作の『プレシャス』の役とは全く別で、いじめ役に挑戦している。「わたしが演じたこの役は、少し精神異常をきたしていて、なぜ彼女がそんなに怒っているのか理由がわからない設定なの。ただ、大抵の人たちは学生時代にいじめられたことがあっても、なぜ自分がいじめられているのか、なぜ相手も自分をいじめているのか良くわかっていないケースがあると思うわ」と大した理由もなしにいじめられることが余計に印象に残るシーンになっている。さらにガボレイは出演経緯について「わたしがこの役を得たのは、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたからだと思っている人もいるかもしれないけれど、実は『プレシャス』が公開される前にこの映画を撮影していたの。『プレシャス』に出演する前は、会社の受付の仕事をしていて、一度『プレシャス』に出演してみたけれど、あの演技は偶然みたいなものだと思って、もう一度自分があのような演技ができるか試してみたいと思って、この映画に挑戦したのよ」と女優として続けていく意思を決めた作品でもあるようだ。

 ゾーイ・クラヴィッツは、前作『X-MEN : ファースト・ジェネレーション』に出演したときと比べ、この映画(実際には『X-MEN : ファースト・ジェネレーション』よりも先に撮影を行っている)ではほとんどメイクアップもせずに、繊細な役を演じていることについて「この役は、わたしにとってすごく意味のあるものになったわ。これまでの役と違って、このキャラクターが自分の性格に近いことに興味を持ったの。それと、初監督のヴィクトリア・マホーニーは、わたしの意見もよく取り入れて製作してくれたわ」と満足のいくコラボレーションだったことを語った。

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 この映画の撮影は18日間で行われ、すべてのショットは2テイク以上は撮れなかったほど予算が少なく、さらにメイクアップはビルの階段で行ったり、トレーラーもないため、トイレに行きたくなったら撮影現場の近くの家をノックして、トイレを借りていたことがあったとガボレイが語っていた。ただいちばん驚いたのは、ヴィクトリアが、この映画は白人と黒人の間に生まれたティーンの女の子を主人公に扱った初めての映画だと語っていたことで、確かに、混血(白人と黒人)のティーンの女の子を主人公にした映画を、2011年になるまで今まで観たことがないという、その現実に個人的に衝撃を受けた。この映画は、ヴィクトリア・マホーニーの初監督作品ではあるが、等身大の女の子の心情を見事に描きながら、人種問題にも訴えかけた力作に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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