うさぎ年だから映画界にうさぎブーム到来!?ピョンと飛び出すのはどの映画!?
今年の干支がうさぎだから、というわけでもないだろうが、『うさぎドロップ』『ラビット・ホール』『ラビット・ホラー3D』『イースターラビットのキャンディ工場』などなど、タイトルに「うさぎ」「ラビット」とつく映画が続々と公開されており、興行の世界はさながら「うさぎブーム」の様相を呈している。
うさぎといえば、その愛らしいルックスから「かわいい」「寂しがり屋」といったイメージがあるが、そのイメージを反映したのが現在公開中の映画『うさぎドロップ』だ。原作者の宇仁田ゆみによると、タイトルの「うさぎ」は、親に捨てられ、独身サラリーマンに引き取られることになる6歳の少女りんに「うさぎ」のイメージを重ね合わせたとのこと。本作でりんを演じる芦田愛菜はまさにうさぎのような愛らしさ、けなげさを発揮している。
昨年、ティム・バートン監督によって映画化され大ヒットを記録した児童文学「不思議の国のアリス」は、世界中で聖書の次に読まれているといわれるほどの有名作品で、主人公のアリスを未知の世界への冒険へと導く案内人として、ここでも白うさぎが登場する。そのうさぎをモチーフにした映画が『ラビット・ホール』と『ラビット・ホラー3D』だ。
9月17日公開の『ラビット・ホラー3D』の物語は、まさに「恐怖の国のアリス」。ブーム到来中の3D映画を鑑賞していた姉と弟は、突然スクリーンから飛び出してきたうさぎの縫いぐるみを受け取ったことで、夜な夜な階段の納戸から広がる不思議な世界に誘われてしまう……という物語で、ここでもうさぎが重要なモチーフとして登場する。本作のメガホンを取った清水崇監督にうさぎをモチーフにした理由を直撃してみると、「女性や子どもが好む小動物のうさぎは、かわいいアイコンであるがゆえに、それをモチーフにしたホラー映画はトラウマの対象になるのではないかと思った」と回答。血まみれのうさぎ、そして血まみれの女優、満島ひかりという、それぞれのイメージを覆すようなミスマッチ感が本作の恐怖を最大限に引き出している。
11月5日公開の『ラビット・ホール』は、わが子の命を奪った少年との交流を通して悲しみを乗り越えようとする母親を、ニコール・キッドマンが演じた感動の人間ドラマだ。タイトルはもちろん「不思議の国のアリス」からきている。うさぎの穴に落ちたアリスが不思議な世界の中で、あり得ない体験をしたように、非現実的とも思える悲しみを経験した人間は誰でも不思議の国を訪れたよそ者のような感覚に陥る、といった意味合いがあるという。
いったいこれだけうさぎ映画が続いているのはなぜなのか? 「おそらく脚本家や監督、プロデューサーや主演女優が全員うさぎ年とか? もしくは月からお忍びで来日したウサギに洗脳されたか……」と清水監督が珍説(!?)を披露。しかし、アニメーションの『イースターラビット』を除き、主演女優・監督の中でうさぎ年なのは残念ながら『ラビット・ホール』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督のみ。やはりうさぎ映画の上映が続いているのは単なる偶然なのだろうか。
経済の世界では、ピョンと飛び跳ねるうさぎにあやかって、うさぎ年は飛躍の年になるといわれている。この空前(偶然!?)のうさぎブームの中、どのうさぎ映画が飛び出すことになるか、注目したい。(取材・文:壬生智裕)
映画『ラビット・ホラー3D』は9月17日より全国公開