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被災地では白骨化した家畜の姿も…被災動物たちが悲惨すぎる…動物の命の大切さを子どもたちに伝えたい

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左が飯田監督、右が宍戸監督
左が飯田監督、右が宍戸監督

 3日、横浜のアートスポット新・港村スーパースクールで映画『いぬとねことにんげんと』DVD発売記念上映会&トークショーが行われ、飯田基晴監督と宍戸大裕監督が被災地におけるペットの現状について語り合った。

映画『犬と猫と人間と』オフィシャルサイト

 宮城県出身の映像作家・宍戸監督が被災地におもむき、ペットたちの現状を映し出した映画『動物たちの被災地-生きてきた、150日の日々』では、福島県の20キロ圏内の「警戒区域」でさまようペットにエサをやる団体や、石巻市で犬猫を保護する団体などに密着。被災地動物たちの現状について報告するドキュメンタリーとなっている。

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 東日本大震災から5か月以上が過ぎたが、被災地の動物たちの現状については「震災当初は普通に歩いていても10頭くらいは見かけました。でもこの5か月の間に多くのボランティア団体がたくさんの犬や猫を保護してきたので、近頃では犬と猫を見かけることは少なくなりました」と明かす。最近の保護活動は、犬や猫の保護から牛や豚といった家畜の保護にシフトしているそうで、「家畜動物の状況はものすごく深刻ですね。牛や豚、鳥なんかは、見るも無残です。もちろん生きている動物もいますが、白骨化している動物もいます。くさりをつけられたまま、餓死した牛もいました」と語る宍戸監督の報告からは、遅々として動物保護が進んでいない現状が訴えられた。

 「実はこれは完成形ではなく、来年の3月11日までは、いろいろと追加で撮影をして、もう少し長い作品にしたい」とさらなるブラッシュアップを誓う宍戸監督は、「美しい犬猫との再会シーンのような、メディアが取り上げるような美談が腑に落ちないんです。実際の被災地では、そんなきれいごとだけでは済ませられない現状がある。そういった点も含めて震災が人と動物に及ぼした影響を織り交ぜられたらと思っています」と映画の完成に向けた意気込みを語った。

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 この日のイベントは2部構成となっており、飯田監督が子どもたち向けに生み出した約20分の映画『いぬとねことにんげんと』も上映された。次々と捨てられ、殺処分を受ける不幸な犬や猫たちの現状について描いた2009年の映画『犬と猫と人間と』の再編集版となる本作は、空前のペットブームの陰で、責任を持てずに犬や猫を捨ててしまう人たちがいるという現状、人間の都合でノラ猫、ノラ犬となった彼らは、保健所に連れていかれ、炭酸ガスで殺処分をされてしまう……という内容となっている。

 子どもたちの学校教材向けとして作られた作品ということで、この日のイベントでは会場の観客を生徒役に、飯田監督が教師役となって、「命の大切さ」について考える模擬授業を実施。「人はどんな理由で動物を捨てるのか」という飯田監督の問いかけに、「世話が面倒くさい」「お金がかかる」「リストラ、離婚、転勤などで飼えなくなった」といった意見が観客から次々とあがっていく。そして「動物が飼えなくなるということは、誰の身にも起こりうることです。どうしたら、ペットを捨てたり処分をせずに済むのか一緒に考えてみましょう」と語りかける飯田監督の問題提起に、集まった観客は人間たちと動物たちの幸せとは何だろうと熱心に語り合っていた。この輪が全国の子どもたちに広がることを期待したい。(取材・文:壬生智裕)

 本DVDの発売を記念して、小学校、中学校、高校、フリースクールなどを対象に、飯田監督、もしくは作家の渡辺眞子による出張授業を先着20名で実施。申し込みの詳細は映像グループ ローポジションのHPにて。

DVD『いぬとねことにんげんと』は好評発売中(税込:2,520円)

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