歴代アメコミスーパー・ヒーローの変化!勧善懲悪から苦悩するヒーローまでアメリカの歴史とともに変容
今年も、映画『グリーン・ランタン』や『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』(10月14日公開)といったヒーロー・アクション大作が話題沸騰(ふっとう)となっているが、超人的な力を持つスーパー・ヒーローたちの長い歴史と変化をたどってみた。
長い歴史を持つDCコミックとマーベル・コミック。それらアメリカン・コミック発の実写映画の中でも、元祖スーパー・ヒーローとして愛されているのが映画『スーパーマン』だ。1978年公開のクリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』は世界中で大ヒット。普段はちょっぴりさえない新聞記者であるクラーク・ケントの実の姿は、空を飛び超人的パワーを持つ、クリプトン星からやって来た「鋼の男」。男らしく真っすぐで、勧善懲悪な正義の味方は、アメリカ人の理想像となった。
スタンダードにして理想のヒーローを描いた『スーパーマン』と同じく、こちらも老舗ヒーローの『バットマン』。1989年にティム・バートンがメガホンを取った実写化作品は大成功を収めたが、“明”の『スーパーマン』と“暗”の『バットマン』の二人のスーパー・ヒーローは大違い。特殊能力を持つわけでもなく、トラウマに悩むブルース・ウェインことバットマンの姿も衝撃的なら、名優ジャック・ニコルソン演じる悪役ジョーカーもユニークだった。2005年にクリストファー・ノーラン監督によってスタートしたシリーズでもまた、バットマンは正義と悪のはざまで揺れる屈折したヒーローとして描かれている。
さらに、2000年代に入るとCGやVFXがどんどん進化し、コスチュームなどビジュアル面にも磨きをかけられ、ハリウッドにおけるスーパー・ヒーローものは量産体制に突入する。中でも、世界中を熱狂させたのが、2002年にスタートした映画『スパイダーマン』シリーズ。偶然、特殊な能力を持つことになった普通の高校生が、恋や友情に悩みながら正義のヒーローへと成長していく姿は、若者たちの心をがっちりつかんだ。ほかにも、映画『X-MEN』シリーズや映画『ファンタスティック・フォー』シリーズ、映画『アイアンマン』シリーズなど、スーパー・ヒーローものは軒並み大ヒット。そんななか、ヒーロー映画史に登場したことのなかった、異例中の異例のヒーローが誕生する。それが、2010年にスマッシュ・ヒットを記録したB級ヒーロー・ムービー『キック・アス』。本作の主人公は、通信販売で購入したコスチュームを着てヒーロー活動にいそしむ、正義感だけが取りえのイケてない高校生。主人公の活躍がネット投稿されて人気に火が付くという現代的な展開が人気を集め、等身大のヒーローとして共感を呼び、新たなヒーロー像を打ち立てることになった。
今後も、おなじみのヒーローたち集合する映画『ザ・アベンジャーズ(原題)/ The Avengers』や、ヒット作の続編『ダークナイト ライジング』『ザ・ウルヴァリン(原題) / The Wolverine』、新しくよみがえる映画『アメイジング・スパイダーマン』や『スーパーマン』のリピート作『マン・オブ・スティール(原題) / Man of Steel』などヒーロー映画が待機している。果たしてどんな活躍をしてくれるのか、また『キック・アス』のようなニュー・ヒーローが誕生するのか、スーパー・ヒーローの勢いはまだまだ加速しそうだ。(岩永めぐみ)
映画『キック・アス』は9月23日よる10:00より放送