安藤サクラ&ARATA、在日朝鮮人2世を熱演!監督の実体験に基づく『かぞくのくに』公開決定
安藤サクラとARATAが在日朝鮮人2世の兄妹を演じる新作映画『かぞくのくに』が製作され、来年全国公開されることが明らかになった。本作は、ドキュメンタリー映画『Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン』(2006年公開)でベルリン国際映画祭最優秀アジア映画賞を受賞するなど世界でも評価の高いヤン・ヨンヒ監督初の劇映画で、大阪生まれの在日コリアン2世であるヨンヒ監督の実体験を基に描いたオリジナルストーリー。安藤、ARATAのほか、日本でもスマッシュヒットを記録した映画『息もできない』(2010年公開)で監督と主演を務めたヤン・イクチュンも出演している。
幾度かの中断を含みながら、1959年12月より20数年にわたって行われた北朝鮮への集団移住「帰国事業」。この事業により離れ離れとなった兄妹の25年ぶりの再会から、失われた時間のかけがえのなさを感じさせる人間模様を繊細に描く『かぞくのくに』。日本に残り、伸び伸びと育った在日朝鮮人2世の妹・リエを演じるのは、映画『愛のむきだし』(2009年公開、園子温監督)での存在感が光る演技で注目され、翌年の『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』でアジアン・フィルム・アワード助演女優賞にノミネートされるなど、海外でも注目されている安藤サクラ。一方、“地上の楽園”とうたわれた北朝鮮に16歳で単身移住し、病気治療のため25年ぶりに日本へ帰国する兄・ソンホを、来年のNHK大河ドラマ「平清盛」にも出演し、主演映画『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(若松孝二監督、来春公開予定)も控える個性派俳優ARATAが演じている。実力屈指の二人が、選択権を手にすることができない社会で生きる兄と、自由を謳歌(おうか)してきた妹を熱演。家族の物語を描きながら、それぞれの背景や価値観の違いが露呈する本作は、政治・社会思想を含んだ意欲作だ。
また、ARATA演じるソンホの北朝鮮からの監視人役に抜てきされたのは、監督&主演作『息もできない』が世界40以上もの映画賞を受賞した韓国の気鋭ヤン・イクチュン。日本の長編映画初出演にして、ハマリ役ともいえる印象的な演技を披露している。そのほか、京野ことみや諏訪太朗、津嘉山正種、宮崎美子らも出演。フィクション映画デビューを飾るヨンヒ監督が力強く世に送り出す本作の完成を心待ちにしたい。(編集部・小松芙未)
映画『かぞくのくに』は2012年全国公開