やなせたかし原作のアニメ作品を映画化!被災地・宮城で上映!野沢雅子戸田恵子、子どもたちの明るい表情に満面の笑顔!
第24回東京国際映画祭
25日、現在開催中の第24回東京国際映画祭による被災地復興支援プロジェクト「TIFF ARIGATO プロジェクト」の一環として、「東京国際映画祭 IN 仙台」特別上映会が仙台MOVIXにて行われ、『ハルのふえ』舞台あいさつに、声優の野沢雅子と戸田恵子が登壇した。
本作は、やなせたかし原作の同名絵本を映画化したアニメーション作品。人間のお母さんに化けたハルというたぬきが、人間の赤ちゃん、パルを育てる姿を描く心温まる作品だ。会場には、小さな子どもを連れた親子連れが多く、劇場には子どもたちの歓声が響き渡った。上映後、本作で、ハルを演じている野沢雅子と、パル役の戸田恵子が登壇すると、思わぬサプライズゲストに会場は大きな拍手に包まれた。
震災後、初めて仙台を訪れたという野沢は、「実際に来る前はとても緊張していましたが、皆さんがとても明るく迎えてくださって、逆に元気をもらえました。お子さんがたくさんいらっしゃってて、すごくうれしいですね!」とあいさつ。また、震災直後から岩手県や福島県などの被災地で子ども向け映画の上映活動を続けている戸田は、「子どもたちの顔を見るたびに、この子たちが、あの震災をくぐり抜けてきたと思うだけで胸がしめつけられそうになるんです。みんな頑張りすぎるほど頑張っちゃうから。だからこそ、言葉で励ますのではなく、アニメを観ることで心が温かくなって欲しいです」と話し、「今日も上映後の子どもたちの明るい表情に、とてもホッとしました」と、うれしそうな笑顔を浮かべていた。
愛情たっぷりに息子を育てるタヌキのハルを、優しい声音で演じている野沢は、「ハルの子どもを育てる姿からは、学ぶところがたくさんあると思います。私自身、子どもとは常にコミュニケーションをとるようにいつも気をつけてきました。どんなに忙しくても、絶対に一緒にすごく時間を作りました。世の中のお母さんたちは、とても忙しいと思いますが、子どもたちと一緒に過ごす時間を作ってもらいたいです」と、自身の子育ての経験をふまえながら、母親たちに語りかけた。「大人たちがみんなハルさんのようになればいいです」と話した戸田は、「劇場には、お子さんといっしょに行く、という経験はとっても貴重だと思います。忙しいと、ついアニメをひとりで見せてしまう、というお母さんもいらっしゃると思いますが、ぜひ一度、お子さんと映画を一緒に楽しんでもらいたいです」と、劇場で楽しむ映画の魅力を語った。また、子どもたちのためのボランティア活動を今後も続けていくことを話し、「まだまだ復興には時間が掛かります。わたしもできることを探して活動しています。やなせ先生も、手伝えないから、と絵本を書いています。力持ちのひとは、力仕事。料理が上手な人は、料理を手伝いに……。ひとができることは、まだまだ山ほどあるんです」と、被災地でのボランティア活動を風化させないよう呼びかけた。
観客の中には、震災で家を失い、仮設住宅で暮らしているという母子の姿も。震災で親せきや大切な友人を数多く失ったという20代の若い母親は、現在3才だという我が子を愛おしそうに見つめながら、「子どもと初めて映画を観ることができました。あたたかいストーリーのアニメーションを、親子で楽しめてとてもうれしかったです。子どもが真剣に見ている姿をみて、私自身とても癒されました」と語った。
当上映会は、東京国際映画祭と仙台市、映画祭を支援する協賛スポンサーが被災地に向けて送る応援プロジェクト。宮城県内30か所以上、約2,800戸の仮設住宅に応募チラシを配付し、応募者の中から約600名を招待。映画祭に出品された350本の中から本作のほか、『ステキな金縛り』『カイジ2 ~人生奪回ゲーム~』『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』などが上映された。(編集部:森田真帆)