震災後の福島県を舞台にした豊原功補主演『トテチータ・チキチータ』がクランクアップ!エキストラはすべて地元の人
東日本大震災後の福島県で撮影が行われることが話題になっていた来年公開予定の映画『トテチータ・チキチータ』がクランクアップした。エキストラやロケ地の炊き出しなどでは地元住民の協力を得たが、それらの人々も「もちろん将来への不安が消えたわけではないけれど、今福島は頑張っているよ! という明るいメッセージを伝えたい」と福島県を舞台にした本作に懸ける思いを語るなど、まさに地元民と一体になった作り上げた作品だ。
本作の福島ロケは、10月8日から20日間にわたって、白河市を中心に県内5市で行われた。3月の震災はもちろん、その後の福島第一原発事故の影響で一時は製作が危ぶまれもしたが、福島の人々の支えにより、予定より約2か月遅れでクランクイン。エキストラはすべて地元の人々、炊き出しでも地元の協力を得るなど、撮影隊と地元住民は交流を重ね、そのかいあって、ついにクランクアップを迎えた。東京での撮影はすべて終了しているため、撮影はオールアップ。後は来年の公開に向けて、編集作業などが残るばかりとなった。
舞台を震災後の福島にするなど、ストーリーは震災を受けて大幅な変更を強いられたが、地元の人々はそのことについても好意的。「震災で変わらざるを得なかった日常がさりげなく描かれているからこそ、今福島で映画を撮る意味を感じる」という声のほか、「もちろん将来への不安が消えたわけではないけれど、今福島は頑張っているよ! という明るいメッセージを伝えたい」と言う人もおり、本作への思いが感じられる。主演の豊原功補も、福島県が舞台になったことについて「震災以降、福島の人たちの『元気になろう』という気持ちに対して、映画の力を通してどれだけ協力というか、心の支えになれるかという意味合いも込められていますし、地元の人の強い気持ちがこの映画の後押しにもなっています」とコメントしており、震災と切り離すことのできない作品に仕上がっていることをうかがわせている。
本作は、戦争で死に別れた家族が立場も年齢も違う人物に生まれ変わり、唯一存命していた妹と再会するさまを描いたファンタジー。震災の被害を連想させかねない内容にプロデューサーの古勝たつ子は当初乗り気でなかったというが、復興を目指して努力する福島県の人々に感銘を受け、製作続行、さらには現世の設定を震災後の福島県にすることを決断した。家族のきずなはもちろん、福島県の美しいロケーションにもぜひ注目してほしい作品だ。(編集部・福田麗)
映画『トテチータ・チキチータ』は2012年春にフォーラム福島ほか全国公開