映画の殿堂で特集上映!「フランスの方々に観ていただくのは大変うれしい」と浅野忠信も大喜び!
パリにある映画の聖地「シネマテーク・フランセーズ」にて、日本の映画製作・配給会社であるシグロの作品を一挙上映する特集が組まれ、『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』に出演した浅野忠信や永作博美らが喜びのコメントを寄せた。なお、ジャン=リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォーらヌーベル・バーグの巨匠たちも親しんだ「シネマテーク・フランセーズ」で、日本のインディーズ映画会社とプロデューサーにスポットを当てた特集は初めてとなる。
水俣の環境破壊を身近で感じる幼少期を過ごした山上徹二郎が立ち上げたシグロ。従来の映画から見放されている社会的カテゴリーに熱を入れ、公害や貧困など日本が抱える問題をフィルムに記録してきた。一方、劇映画も手掛けており、今年で創立25年目を迎えた。今回の特集上映決定には山上自身も驚きを隠せず「シグロの一貫した映画製作のモチーフを評価してもらったのだと思う」と率直な思いを明かし、手掛けた作品たちが「2011年の日本からの問いかけ」として観客に届いたら、「これに代わる喜びはない」とメッセージを発信した。
上映されるのは、与那国島の82歳の漁師を追った『老人と海』や、ベトナム戦争時にアメリカが散布した化学物質の影響を映し出した『花はどこへいった』などのドキュメンタリーから、浅野忠信&永作博美共演の『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』や『ハッシュ!』などの劇映画まで全23本。現地時間11月23日まで開催され、パリではこんな日本映画は初めて観ると好評の声が上がっている。
そして、浅野や永作が本特集上映にお祝いの言葉を送り、浅野は「僕が参加した『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』は、紆余(うよ)曲折がありながら撮影・完成したので、とても感慨深い作品。この映画に出会えてすごく幸せと思った作品です。この映画をフランスの方々に観ていただくのは大変うれしいです」と喜びをあらわに。また同作でメガホンを取った東陽一監督は「いつも経済的に悪戦苦闘しながらも、山上徹二郎プロデューサーは、すぐれたドキュメンタリー作品を数多く作ってきた。その彼の仕事に、遠く離れたフランスの『シネマテーク・フランセーズ』が注目したというのは、実に素晴らしいことだ」と称賛した。誇り高き日本の映画制作を海外でも感じてもらえる良い機会となりそうだ。(清水一)
「シグロ作品特集:日本の社会派記録映画」は11月23日までシネマテーク・フランセーズにて開催