ADVERTISEMENT

12年ぶりの長編新作を発表した石井岳龍監督、気持ちは早くも新作へ!「生まれ変わった気で映画に向き合いたい」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
左から舞台あいさつに登壇した染谷将太、石井岳龍監督
左から舞台あいさつに登壇した染谷将太、石井岳龍監督

 16日、スペースFS汐留で、石井聰亙改め石井岳龍監督の、12年ぶりの劇場用長編となる映画『生きてるものはいないのか』完成披露試写会が行われ、石井監督は染谷将太と共に舞台あいさつに登壇、12年ぶりの長編映画公開を前にして「何としても次の意欲的な作品を作りたい」と早くも次作について言及した。

 1980年代の映画『狂い咲きサンダーロード』『逆噴射家族』といったパンキッシュな傑作映画を連発し、クエンティン・タランティーノを筆頭に世界中の映画ファンに熱狂的に支持された石井監督。2000年の『五条霊戦記//GOJOE』を最後に長編映画を発表することはなく、多くの映画ファンから新作を待ち望まれながらも、いくつもの企画が浮かんでは消え、という状態が長らく続いていた。だが、岸田戯曲賞を受賞した劇作家・前田司郎の同名傑作戯曲を映画化した本作でいよいよ完全復帰を果たすこととなった。

 本作は、石井監督が「石井岳龍」と名前を改めてから初めて発表する劇場長編作品となる。この「聰亙」という名前は、間違われることが多かったから改名することになったと公言する石井監督だが、舞台に上がった石井監督は「勝手に変えて申し訳ありません」と冗談交じりに謝罪。さらに「30年以上『聰亙』でやってきましたし、この名前にはあまり思い入れがなかったんで心機一転したかった。これからは生まれ変わった気で映画に向き合いたい」と決意を語る石井監督だった。

ADVERTISEMENT

 「今まで映画とはダイアローグではなく、ビジュアルで見せるものだと思っていたが、それを考え直すきっかけとなった」と石井監督によると、本作では事前のリハーサルをみっちりと行ったという。「大変難しい芝居で、アンサンブルも含め、セリフ、要求も高かった。でも(芝居が)できる方にやってもらっているので、そこは信頼して、いい状態になったと思います」と役者陣の芝居を絶賛。中でも『ヒミズ』で第68回ベネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した染谷については「『パンドラの匣』で知った。スクリーン映えのする、久々にとても力のある俳優が出たなと思いました。こういう人とぜひ仕事をしたいと思った」と石井監督から直々にラブコールを送ったことを明かした。

 その賛辞に喜んだ染谷は、劇中、喫茶店でバイトをしている店員の役を演じている。だが、石井監督の要求に応えられるかは不安だったといい、「(今回は)自問自答で、頭がぐるぐるしましたね。僕は普段役づくりはしないんですけど、トイレで用を足していたら隣に石井さんがいて。ハッとして、バイトした方がいいと思ったんです。そこでトイレから出るときに『石井さん、バイトします!』と言ってトイレから出ました」と振り返った。そのバイトは1日だけだったそうだが、石井監督も「とてもいいことだなと思いましたね。ありがちな芝居よりも体でつかんだものが一番ですからね。動きに説得力があって、良かったですね」とそんな染谷の積極性に満足げな表情を見せていた。

ADVERTISEMENT

 そして最後に「わたしが大切だと思う映画、面白い映画が、とても作りづらくなった日本映画界ですが、(そんな中でも)わたしとしては何としても、次の意欲的な作品を作りたいと思っています。そのためにも応援をよろしくお願いします」とまさに石井岳龍の完全復帰を宣言。これからの活躍を期待させるコメントと共に、会場を後にした。

 本作は、怪しい都市伝説がささやかれる大学を舞台に、アイドル大学生や三角関係の学生たちと喫茶店員、子どもを捜す母親など、さまざまな18人の若者の死にざまを脱力系ギャグや不条理な展開で描き出すコメディー。(取材・文:壬生智裕)

映画『生きてるものはいないのか』は2012年2月18日よりユーロスペースほかにて公開

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT