森山未來が中卒、風俗、日雇い労働者役で熱演!西村賢太氏の芥川賞受賞作「苦役列車」が映画化!
第144回芥川賞を受賞した西村賢太の小説「苦役列車」が森山未來と高良健吾という、二人の若手実力派の共演により映画化されることがわかった。妻夫木聡と松山ケンイチの共演で話題となった映画『マイ・バック・ページ』の山下敦弘監督がメガホンを取る。
本作は、中学校を卒業後、家を出て日雇い労働にすがりながらその日暮らしの生活を続ける19歳の青年・貫多の日々を描いた作品。恋愛も友情もない生活を送る貫多は、ある労働先で専門学校生の正二と知り合う。久々に同年代との友情を感じ始めた貫多だったが将来の選択肢が多い彼への猛烈な嫉妬にかられてしまい、暴力的な言動を繰り返してしまう。自虐的で、あがいても浮き上がれない息苦しさや孤独感にさいなまれる若者の様が、どこか滑稽(こっけい)さを交えて描かれる。受賞式での西村の「(一報を受けたとき)そろそろ風俗に行こうかなと思ってた……」という発言も話題となった。
主人公の貫多を演じるのは、今年大ヒットを記録した映画『モテキ』に主演した森山未來。台本を読んだとき、「『モテキ』に続いて、またダメな男の役をやるんだ」と思ったという森山。役柄について「まっすぐに一生懸命生きたいというのは皆が感じていること。『苦役列車』の貫多は、身近にいたらめんどくさいし、絶対友達にはなりたくないタイプかもしれませんが、生命力があってたくましく感じます」と共感のコメント。「2011年はこのダメ男で締めくくることにしました」と意気込みを語っている。
また、貫多が友情を感じることになる正二を演じるのは、デビュー5年にして出演映画20本以上を数える高良健吾。「森山さんのことが大好きなので、緊張しています。今回がっつり共演するのは初めてなので、足を引っ張らないように、しょっぱいかんじになんないように、がんばります」と明かした。
また、自身の作品について「大向こう受けする要素が一切ない。多彩な登場人物もなければ、起伏に富んだストーリーもない」という西村は、映画化に関し、「一人の落伍者の内面描写が眼目だから、いわば活字でしか成立し得ない世界だ。しかし、これを異能の山下敦弘氏が手がけられると聞き、その映像化への危惧は霧散した。すべてを委ねた上で、客観的に完成を待ちたい」と1作ごとにその手腕が評価されてきた山下監督への、絶対の信頼を込めたコメントを寄せている。
本作はすでに11月25日にクランクインしており、森山、高良、双方とも山下監督作品への出演を熱望していただけに撮影は和やかな雰囲気の中、快調に進んでいるという。若手実力派として話題を集める森山と高良、さらに異色ストーリーテラーの西村と山下監督という、注目の才能たちの共演によって、どんな作品が生まれるのか、今から期待が高まる。(編集部・入倉功一)