反日映画に復讐劇、南北対立!イケメンのメロドラマだけじゃない韓国映画の魅力満載ムック本!-映画秘宝
映画秘宝のムックシリーズ「映画秘宝EX 映画の必修科02 激辛韓流映画100」が発売され、日本では発禁確実? 日本を悪の対象とした「反日映画」の世界など、さまざまな観点から、恋愛ドラマだけじゃない、まさに「血で血を洗う」壮絶な魅力が満載の韓国映画が紹介されている。
本書は、映画専門雑誌「映画秘宝」編集部が、映画ビギナーを対象に各映画ジャンルのマスト100本を厳選するムックシリーズ第2弾。圧倒的なバイオレンスに激烈なアクション、南北対立や復讐(ふくしゅう)の絡む壮絶な人間ドラマなど、チャン・グンソクなど甘いイケメンスターのメロドラマだけではない、熱い魅力にあふれた韓国映画を紹介している。
注目したいのは、韓国映画を語る上では避けて通れない、反日映画について紹介した、岡本敦史氏によるコラム「日本発禁!? 反日映画の世界」。韓国が朝鮮戦争を経て復興に向かう1960年代に量産された、アクション・戦争映画の悪どい敵役として、また1970年代にプログラムピクチャーとして製作された、数多のジャンルとしての「抗日映画」を紹介。ハリウッド映画におけるナチス・ドイツのように、ある種類のジャンル映画にとって、日本人は欠かせない悪役であったことがよくわかる。
一方で、反日感情をにおわせた作品なら何でも評価されるわけではないことにも言及。小説「ムクゲノ花ガ咲キマシタ」の映画化作品が、日本が韓国と北朝鮮に核攻撃されるという、あまりに衝撃的で荒唐無稽(むけい)な内容と時代錯誤の演出で失笑を買い、利権目当ての日本政府が南北朝鮮統一を妨害する『韓半島 -HANBANDO-』(日本未公開)も国内でヒットはしたが、評価は散々だったといったエピソードが紹介される。多角的な側面から、冷静で客観的な分析がなされており、非常に興味深いコラムだ。
そのほか本書では、『哀しき獣』『オールド・ボーイ』『息もできない』『アジョシ』『テコンV』など、衝撃作から、やりすぎ気味の娯楽大作まで、幅広いジャンルの作品を紹介。チェ・ミンシクやソン・ガンホ、ソル・ギョングといった、イケメンではないが、強烈な印象を残す注目俳優なども特集されており、甘い笑顔のスターによる恋愛ドラマのイメージしかなかった映画ファンにとって、韓国映画の本当の魅力と実力を垣間見ることができる1冊となっている。(編集部・入倉功一)
「映画秘宝EX 映画の必修科02 激辛韓流映画100」は洋泉社より発売中(税込み:1,260円)