ベルリン国際映画祭、意外と知らない日本との関係!
第62回ベルリン国際映画祭
2月9日から2月19日までの期間、ドイツの首都ベルリンで第62回ベルリン国際映画祭が開催されるが、残念だが日本での認知度はあまり高くない。そこで知られざる本映画祭の魅力や、縁がある割には意外と知られていない日本との関係を紹介したい。
毎年2月に開催されるベルリン国際映画祭は、カンヌやベネチア同様世界三大映画祭の一つ。位置的にヨーロッパの中心にあるという地の利の良さと、大都会ベルリンが舞台ということで、ほかの二つの映画祭より来場者数が格段に多くなるのは必然ともいえる。ベルリン市の紋章である熊にちなみ、コンペティション部門の最優秀作品賞は「金熊賞」と呼ばれている。
冷戦下に東西陣営の真ん中で始まったという地理的&歴史的背景を踏まえ、これまでも時代を反映した社会派作品が多数賞を受賞。特にイスラム世界を描いた名作の充実ぶりは有名で、2006年には『サラエボの花』、2010年は『蜂蜜』が金熊賞を獲得。昨年はイランのアスガー・ファルハディ監督の『別離』が、最高賞の金熊賞と銀熊賞(男優賞と女優賞)の3部門で受賞している。同作が本年度アカデミー賞外国語映画賞の最有力候補に挙がっていることからも、本映画祭の目は確かだ。
そんな映画祭での日本映画の健闘ぶりはというと、2002年に宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』が金熊賞を受賞。2010年には『キャタピラー』で寺島しのぶが銀熊賞(女優賞)を手にしたほか、山田洋次監督には『おとうと』で特別功労賞が授けられた。2011年には、瀬々敬久監督の『ヘヴンズ ストーリー』が、国際批評家連盟賞と最優秀アジア映画賞のダブル受賞という快挙を成し遂げている。
今年はフォーラム部門に、岩井俊二監督の『friends after 3.11【劇場版】』、藤原敏史監督の『無人地帯』、舩橋淳監督の『Nuclear Nation』など東日本大震災関連作品3本が選出。同部門には安藤サクラと井浦新(ARATA)が出演する『かぞくのくに』、木村承子監督の『恋に至る病』も選ばれている。ほかにも、泉原昭人監督の『リリタアル』、川本直人監督の『渦潮』、荻上直子監督の『レンタネコ』など、多数の邦画が出品予定だ。果たして結果は? 日本とゆかりのある本映画祭に注目したい。(平野敦子)
映画『キャタピラー』は2月15日(水)深夜2:15よりWOWOWにて放送