アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート作品に日本人ダンサー出演の快挙!
先日若手バレエダンサーの登竜門として有名なローザンヌ国際バレエコンクールで、日本人高校生が1位の座に輝き世間を沸かせたばかりだが、本年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』にも日本人ダンサーが出演していることがわかった。
映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』ギャラリー
バレエの世界では脚の美しさを問われることが多いことから、これまではアジア人より西欧人に有利だと思われがちだった。ところが今年のローザンヌ国際バレエコンクールでの成果や、ヴィム・ヴェンダース監督によるアート映画初の3D作品となる『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』でも、日本人ダンサーの瀬山亜津咲さんが見事なダンスを披露していることからも、バレエ界に新しい風が吹き始めたことは確かなようだ。
2009年に急逝したドイツの天才舞踊家であり、振付家でもあったピナ・バウシュ率いるヴッパタール舞踊団の現役ダンサーである瀬山さん。劇中で、仁王立ちする瀬川さんの腕がやたらマッチョ……! と思いきや、実は腕を隠した彼女の背後にマッチョな男性ダンサーが立っているという、なんとも可笑しいダンスシーンがあるのだが、最初はまさか自分が10歳のころからあこがれ続けたピナの舞踊団の一員になれるとは夢にも思っていなかったとか。
この世界最高峰ともいわれる舞踊団には、世界20か国から優秀なダンサーが集結しており、その大半を占めるのは、クラシック・バレエの鍛錬を積んできたダンサーたちだ。その中で、ピナの目に留まるよう自分の内面をさらけ出しつつアピールを重ね、長時間に及ぶ厳しい訓練にもついていく覚悟がなければ、ここで生き残るのは無理だと瀬山さんは言う。
当初はパリで行われる、ヴッパタール舞踊団のオーディションを軽い気持ちで受けたという瀬山さんだが、すぐに「春の祭典」のベルリン公演へのゲスト出演が決まり、その終了後舞踊団に誘われるというシンデレラストーリーを実現。彼女いわく「ピナと出会って大きく人生が変わりました。わたしはわたしであってほかの誰でもなく、わたし自身でいいんだということをピナが教えてくれたんです」とのこと。そんな彼女の実力を堪能できる驚がくの3D映像を、ぜひとも劇場で体感してほしい。(文・平野敦子)
映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』は2月25日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほか全国順次3D公開