香港映画界の巨匠ジョニー・トーもほれた25歳の才能!「映画はたまったものを吐き出すような感じ」
19日、大森南朋主演の映画『東京プレイボーイクラブ』のトークショーが渋谷・ユーロスペースで行われ、24歳で本作のメガホンを取った奥田庸介監督と青山真治監督が対談した。
本作で商業映画デビューを飾った奥田監督は現在25歳。23歳で第20回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭ヤング・オフシアター・コンペティション部門のグランプリを受賞し、審査員を務めた香港映画界の巨匠ジョニー・トー監督に「恐るべき監督の出現だ」と言わしめた注目の新人監督だ。
商業映画デビューを果たした心境について奥田監督は、自主映画の現場と比較しつつ「プロの俳優や撮影、照明、録音と皆こだわりを持ってて、いい刺激を受けました。映画を作っていく上で学ぶことが多かった。監督の俺が負けてらんねーなって」と職人との仕事に刺激を受けたという。
本作はバイオレンスも好評ながら、劇中で光石研が話す北九州弁も奥田監督のお気に入りのひとつ。「外人に『おまえら日本人がタランティーノの映画を観ても面白さなんて全然わかんねーよ』って言われるのが悔しい。それは言葉の言い回しだったりスラングだったり。だったらこっちは日本語でやってやろうじゃねえかって試みでした」とこだわりを明かした。
監督だけでなく脚本も手掛けているが、奥田監督にとって脚本の執筆は一種の自己救済だという。「ガス抜きというと言葉が悪いけど、たまったものを吐き出すような感じ。人生のつらさとか、あと友情とか愛情とかも信じているから、そういうものに対するジレンマがたまった瞬間にシナリオができる」と語り、「一生続くか分からないけど、今は暴れだしたいくらいある。次の俺の新作を期待してください」と注目の集まる監督第二作に向けて意気込んでいた。
本作は行き場をなくした者たちが集う場末のサロンを舞台に、そこへ流れ着いた男が巻き込まれるトラブルの行方を絶妙な映像センスで描いたジャパニーズ・ノワール。(取材・文:中村好伸)
映画『東京プレイボーイクラブ』はユーロスペース、シネマート新宿ほかにて公開中