三池崇史監督「うかつに反原発も言えない、高岡蒼佑レベルでもダメ」今の映画界をとりまく状況を嘆く!
現在、映画『逆転裁判』が公開中の三池崇史監督がインタビューに応じた。
三池監督と言えば『十三人の刺客』で時代劇に挑んだと思ったら『忍たま乱太郎』を手がけるなど意表を突く展開がまたファンの魅力となっている。そして新作『逆転裁判』も人気ゲームが原作の法廷エンタテイメントで、脱力系の笑いが満載だ。
三池監督は「興味があることや、やったことのない事に惹かれる。『殺し屋1』でバイオレンスの人とカテゴライズされたくないから、リバウンドで違うものとなる。その振り幅が大きくなっているだけだと思いますけどね。『逆転裁判』は映画的要素が一切ないゲームがあって、しかもそれを映画にしたときにゲームを知らない人がどう見るのか? 自分にとっては冒険だった」と生みの苦労を語った。
また三池監督と言えば『十三人の刺客』でベネチア、『一命』でカンヌ国際映画祭参加と日本を代表する監督へと成長し、周囲の期待は高まる一方だ。三池監督は「周りを考えると焦ってしまうし、ちゃんとバイオレンスを撮らなきゃダメかなと考えてしまう。でも自分にとって何かを表現するということはなくて、現場に向かって、撮ったものを編集するのが楽しい。珍しくここ1、2か月撮影が入ってないんですよ。もうそれで限界。天気予報でもいいから撮ろうかな」と“日本一忙しい映画監督“らしい発言で笑わせた。
ただし映画の企画もキャスティングも、“安全なモノ“が望まれる風潮に苦言を呈する。「業界がヤワになっていて面倒臭いと排除される。いろんなタイプの人がいろんな生き方をしながら映画を作る。だから個性が生まれてきて、昔は映画じゃないと観ることができない男たちがいた。それがうかつにも反原発も言えないし、テレビと直結しているので高岡蒼佑レベルでもダメ。映画を取り巻く環境が窮屈になったなと思いますよ」と本音をぶちまけた。(取材・文:中山治美)
次回作は妻夫木聡主演『愛と誠201X』で「バイオレンス・ラブロマンス」(三池監督)になるそうだ。