アカデミー賞監督エロール・モリスが、元国防長官ラムズフェルドのドキュメンタリー映画を製作か
ケネディ大統領の下で国防長官をつとめたロバート・マクナマラへのインタビューをドキュメンタリー映画にした『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』で、2003年アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞を受賞したエロール・モリス監督が、現在、ジェラルド・R・フォードと、ジョージ・W・ブッシュのもとで、二度にわたり国防長官をつとめたドナルド・ラムズフェルドのドキュメンタリー映画の製作を進めているとのニュースが伝えられた。
エロール・モリス監督作『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』場面写真
ウェブサイトNY MagazineのVultureによれば、モリスは先月、ラムズフェルドへのロングインタビューを敢行したそうだ。そこで、海軍飛行士、四期連続での下院議員、ニクソン政権時代の首席補佐官、大手製薬会社のCEO、そして、マクナマラに次いで在職期間が史上二番目の国防長官などのポジションで、40年間にわたる公人としての生活について話を聞いたと、情報筋が明かしている。モリスをよく知るあるスタジオの上役は、「エロールには、人にすべてを話させてしまうマジックがある」と話している。
911後のイラク戦争を、国防長官の立場から指揮したのもラムズフェルドだったが、戦況が泥沼化し、国内の不満が高まるにつれ、メディアや国民の攻撃にさらされた。モリスは、前作『スタンダード・オペレーティング・プロシージャー』で、イラク戦争中にアメリカ兵がイラク兵捕虜を虐待したことで知られるアブグレイブ刑務所事件の当事者たちにインタビューしているが、その事件も彼の失墜を早めた一因となった。
Vultureがモリスに電話やメールでコンタクトを試みるも、回答は得られなかったとのことだが、情報筋によれば、本作の公開は今年の後半が予定されているそう。20世紀が残した爪痕を追うモリスの旅は、まだまだ終わらないようだ。(鯨岡孝子)