B級映画の帝王・ロジャー・コーマン85歳でなお精力的!新作は約15メートルのチアリーダーが飛び出す3D映画!!
「B級映画の帝王」として数々の傑作、珍作、怪作を生み出してきたアメリカ映画史の最重要人物ロジャー・コーマンが、その人物像に迫るドキュメンタリー映画『コーマン帝国』の公開を控え、85歳にして衰えない映画への情熱を語った。
少ない予算でいかに効率よく映画を撮影するかに心を砕いてきた、インディペンデント映画界のゴッドファーザーたるコーマンを追った本作には、古代からよみがえった巨大人食いザメが人類を襲う新作『ディノシャーク』の撮影現場が映し出される。80歳を超えてなお、人食いザメの映画に情熱を燃やす姿は感動的でさえあるが、そのことを告げると、両手を広げ「だってまだ生きているからね!」と笑顔に。
現在も新作をいくつか準備しているというコーマンだが、そのうちの一つ『アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー(原題) / Attack of the 50ft Cheerleader』は何と3D映画! 「チアリーダーが50フィート(約15メートル)になるコメディーだ。ショーン・ヤングが出演するのだけど、若い女の子もたくさん出てくるよ!」とのことで、新たなトレンドを貪欲(どんよく)に取り入れ、映画を量産し続ける彼の創作意欲はまだまだ衰えることを知らない。
セックス、アクション、バイオレンス、ヌード、SF、怪物に銃といったキーワードに彩られた数々のB級作品を、徹底した低予算と情熱とで量産し続けてきたロジャー・コーマン。マーティン・スコセッシ監督やジャック・ニコルソン、ロバート・デ・ニーロなど、現在ハリウッドを代表するそうそうたる顔ぶれが彼の映画の撮影現場で鍛えられ、巣立っていったことは、もはや伝説だ。
数々の著名映画人たちも、彼の撮影現場で働く当時は無名の若者だった。人件費が抑えられるとはいえ、無名の若者たちに仕事を任せることに、迷いはなかったのだろうか。しかし、「仕事ぶりを見れば、きちんとできる人間かどうかくらいわかる。彼らの才能を信じることが一番大事なんだ」ときっぱりと語るコーマン。その映画人たちが、チャンスを与えてくれたコーマンにどれほどの感謝の念を抱き、親愛の念、きずなを感じているかは本作を観るとよくわかる。(取材・文:壬生智裕)
映画『コーマン帝国』は4月7日より新宿武蔵野館にて全国順次公開予定