ライアン・ゴズリング、監督ジョージ・クルーニーの超越した能力に驚嘆したことを明かす
今ハリウッドで最も注目されている若手俳優ライアン・ゴズリングが出演するジョージ・クルーニー監督の『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』について、ロサンゼルスのホテルで話を聞いた。
映画『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』写真ギャラリー
クルーニーは、この新作の見どころについて、「ライアン・ゴズリングという素晴らしい役者の芝居を最初から最後まで見ることが出来る点」と全編出ずっぱりのゴズリングをベタ褒めしていたが、まずは初めてクルーニーと組んだ感想を聞いてみた。
「ジョージとの仕事はとてもよかったよ。役者出身の監督ということで、ほかの監督と違うといった印象はあまりなかったけどね。彼は監督をしているときは、ひたすら演出に集中しているんだ。彼の仕事を分けてこなす能力は見ていて興味深かった。ものすごい仕事量をこなしているからね。自分で脚本を書いてプロデュースし、自ら監督し主演しているんだ。そして同時に、携帯電話で、ダルフールの情勢(アフリカで起きている紛争)を衛星を使ってチェックしている。そして常に少なくとも10個のいたずらを考えているといった具合で、いくつものことを同時にこなせるんだ」
今年は大統領選が控えていることもあり、そういった意味でまさにタイムリーな作品だが、ゴスリング自身はどのぐらい政治に関心があるのだろうか。「政治の世界はとても魅力的に思える。僕個人はそれほど政治にかかわってはいないけどね。でも僕がこの作品を気に入っている点は、政治の世界を舞台にしているけど、政治のことをあまり知らなくても楽しめるというところなんだ。こういった話はハリウッドでもウオール街でも成立するものだよ」確かに、この作品における人間ドラマは、ハリウッドに置き換えることは可能かもしれない。
「たとえ成功するためであっても、僕が絶対に足を踏み入れないことはある。政治との共通点はどちらも正直でいるのが難しいということだ。本当のことは言えないんだ。なぜなら自分が言ったことは、すべて部分的に切り取られ、本当に意味していたことから外れて使われたりするからね、自分が口にすることに対してとても注意しないといけない。このキャラクターのそういった面についてはぼくも感情移入できたよ」
アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた2006年の『ハーフ・ネルソン』のように、20代は作品の規模やお金に関係なく、あくまで役の面白さで作品選びをしてきたゴスリング。「30歳を過ぎて、役者としてよりクリエイティブになることができた」と語るように、最近はドラマだけでなく、アクションやコメディなど幅広いジャンルを手がけるようになり、その才能を大きく開花させた。若い時のロバート・デ・ニーロに通じる役者魂を感じさせる久々の若手スターの登場に、映画ファンとして期待せずにいられない。(取材・文:細谷佳史)