福島全県ロケを行った映画『トテチータ・チキチータ』が初日を迎え、立ち見も出る大盛況
7日、銀座シネパトスで映画『トテチータ・チキチータ』初日舞台あいさつが行われ、豊原功補、松原智恵子、寿理菜、葉山奨之、古勝敦監督、古勝たつ子・古川雅裕プロデューサーが登壇、感無量の様子の一同だった。
昨年の10月、東日本大震災後初となる福島全県ロケを敢行した本作。昨年の3月11日から1年が過ぎた今、ようやく東京での初日を迎えた本作だが、会場内は立ち見の出る大盛況。本作で主演を務めた豊原は「映画というものは、役者にとっても一作一作が記録になるものですが、特にこの映画は2011年の記録。きっと多くの人の心に何かが残るようなメッセージがあると思います」と会場の観客にあいさつ。松原も「ファンタジー映画ですが、心が温かくなって、家族って大切だな、生きてるっていいことだなと思っていただけたら」と呼びかけた。
本作を手がけた古川雅裕プロデューサーの本業は、福島県白河市の老舗和菓子店の4代目。映画上映団体の会長を務めるなど、これまでも映画を通じて地元の街おこしをしてきた人物ではあるが、それでも異業種となる映画プロデューサー業という仕事を受けたのは、「それほど困難な状況だったということです。福島は下を向いていないんだという思いが込められて、美しい映画になりました」と感無量の表情であいさつ。さらに壇上に立った役者陣を前にして「この映画で福島にかすかでもいいから光を作りたかったんです。みなさん、本当に素晴らしい演技でした。いえ、演技以上のものがすべて入っていたんだと思います」と付け加えた。
同じ福島出身の古勝プロデューサーも「この映画は白河と伊達を中心に福島県各地で撮影を行なったんですが、伊達と白河って本当に遠いんですよ。それなのに、本当に遠くまで来ていただいて、楽しい撮影でした。(東京の初日を迎えたために)皆さんと一緒にお仕事をするのは今日で最後になりますが……」とコメントするや、思わず涙ぐむ。そんな姿に、会場からは大きな拍手が沸き起こった。(取材・文:壬生智裕)
映画『トテチータ・チキチータ』は銀座シネパトスほかにて全国順次公開