ヒュー・グラントを直撃!3Dストップ・モーション・アニメ作品の声優に挑戦!
映画『ノッティングヒルの恋人』や『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズなどでおなじみのイギリス人俳優ヒュー・グラントと、映画『チキンラン』の監督ピーター・ロードが、新作『ザ・パイレーツ! バンド・オブ・ミスフィッツ(原題) / The Pirates! Band of Misfits』について語った。
同作は、ビクトリア朝時代のイギリスを舞台に、進化論を否定されて国外追放された科学者のチャールズ・ダーウィンを助けた経験のある海賊のキャプテン(ヒュー・グラント)が、「年間最優秀海賊賞」を獲得するために敵対する海賊ブラック・ベラミー(ジェレミー・ピヴェン)との戦いや、海賊を嫌うヴィクトリア女王(イメルダ・スタウントン)とも対決していくという冒険活劇を描いた3Dストップ・モーション・アニメ作品。ギデオン・デフォーの小説「ザ・パイレーツ!」シリーズの第1巻「ザ・パイレーツ! イン・アン・アドベンチャー・ウィズ・サイエンティスツ(原題) / The Pirates! In an Adventure With Scientists」を映画化している。監督は『チキンラン』でメガホンを取り、映画『ウォレスとグルミット/ベーカリーの街の悪夢』や『アーサー・クリスマスの大冒険』を製作したピーター・ロードが務めている
海賊のキャプテンの声優に挑戦したヒュー・グラントには、どのような演出をしたのか。ピーター監督は「もちろん、監督として指示はするが、声優たちの意見も取り入れるバランスも必要なんだ。僕自身はあまり声優の演出は上手くないと思っていて、ほとんどは声優の演技に依存しているんだよ」と答えると、ヒュー・グラントが「実写映画とは違って、アニメではストーリーリール(キャラクターの動きなどを下書き過程の映像で指したもの)があって、すでにそのキャラクターがどのような動きをするかを声優はわかっているんだ。ところが、実写映画だと朝に監督と話し合って、気に入らなければ変更できるが、アニメの場合は自分が気に入ろうが、気に入らなかろうが、変更できないんだ」。つまりストップアニメーションの場合、声優たちがストーリーリールを見て声を録音し、その声優たちが録音した声に合わせて後にアニメが作られていく。
実写映画との仕事と比較してみて「アニメの仕事の方がより楽しむことができたと思う。もっとも、アニメでは実写映画のような出演料は貰えないけれどね(笑)。実写映画だと朝5:30時にメイクアップ・ルームに座っていることもあるが、アニメだとそんな苦労をする必要がない。それに、ストーリーリールを見ている際に、後に出来上がるアニメをすべて自分の頭の中で想像して、単にベストの声を出していれば、その声に合わせて後にアニメが描かれていって、いつの間にか僕のキャラクターが可笑しくなっている」とヒュー・グラントは語った。これまでも声優のオファーはあったが、この作品は特別に気に入ったようだ。
原作であるギデオン・デフォーの小説「ザ・パイレーツ!」シリーズについてピーター・ロード監督は「僕はもともと、海賊のアニメ映画を製作することは楽しいと思っていたんだ。そんな海賊を描いた作品の中でも、ギデオンの作品には、何よりもコメディのセンスがあったんだ。そのユーモアは単に海賊同士だけではなく、この小説全体にもそのユーモアな世界観が満ちあふれていたんだ。それにギデオンのセンスはモダンで、小説内のキャラクターは典型的な海賊ではないため、人の物を盗むような海賊というよりは、むしろ自分たちの(海賊の)イメージを大切にしているような連中なんだ」と語った。
映画は、ユーモアに富んだ作品で、子どもから大人まで最初から最後まで楽しめる映画に仕上がっている。ヒュー・グラントの次回作は、6つの異なった時代設定のストーリーが、それぞれ複雑に関連しているという映画『クラウド・アトラス(原題) / Cloud Atlas』が控えている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)