『ローマの休日』ならぬ『ローマ法王の休日』!?カンヌで好評を博したローマ法王の逃亡劇って?
7月21日、『ローマ法王の休日』というタイトルの映画が日本公開されることが明らかになった。オードリー・ヘプバーンとグレゴリー・ペックが共演した往年の名作『ローマの休日』をほうふつさせる邦題が目を引く本作は、昨年のカンヌ国際映画祭に正式出品され好評を博した作品。メガホンを取ったナンニ・モレッティ監督は、今年のカンヌ国際映画祭の審査委員長に抜てきされている。
『ローマ法王の休日』の原題は、「アベムス・パパム / Habemus Papam」。ラテン語で「教皇が決まった」の意。本作は、2005年4月8日、サン・ピエトロ広場で行われたヨハネ・パウロ2世の実際の葬儀の映像から始まり、次のローマ法王を決めるコンクラーベに向かう枢機卿たちを映し出し、フィクションの世界へと入り込んでいく。
ではなぜ『ローマ法王の休日』という邦題が付けられたのかと言うと、本作では次の法王に決定したミシェル・ピッコリ演じるメルヴィルが、プレッシャーに耐え切れず、ヴァチカンからローマへと逃げ出してしまうから。ヴァチカンを飛び出したメルヴィルは、ローマの街で、セラピスト、デパートの店員、パン職人、ストリートミュージシャン、舞台俳優など、さまざまな人に出会い、『ローマの休日』のアン王女が新聞記者ジョー・ブラッドレーと束の間の観光を楽しんだローマで、束の間の休息を味わう。
新法王就任のスピーチを前に逃げ出してしまったメルヴィルは、“ローマの休日”を経て、何を思うのか? 映画『息子の部屋』でパルムドールを受賞したモレッティ監督が、法王を人として描き、聖域に踏み込んだ本作。その邦題に“だまされて”、劇場に足を運び、『ローマの休日』とはまた違った角度でローマの街並みを楽しみつつ、賛否両論ある結末を体感してほしい。(編集部・島村幸恵)
映画『ローマ法王の休日』は7月21日よりTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開