TPPや放射能問題で鋭い警告!多くの企業を敵に回し訴えられる可能性大の『フード・インク』ロバート・ケナー監督
アメリカの食品産業の裏側を描いた映画『フード・インク』のロバート・ケナー監督が来日し、18日に都内で記者会見を行った。ロバート監督は食の安全について鋭い警告を行うとともに、アメリカという訴訟社会ならではの苦心を語った。
ケナー監督は、今日を皮切りに東京や大阪での講演や映画の上映会を予定している。本作を製作したことで、日本に来ることができたり、世界でいろんな素晴らしい人に出会えたりできたと喜びを語る一方、多くの企業を敵に回したことで明日にでも訴えられる可能性があるという。
同作はアメリカの食品産業の問題点に迫ったものだが、ケナー監督は「どこから食べ物が来ているか知りたくて映画を作ったが、大企業から中小の生産者まで、どの人たちも話したがらなかった」と苦心を語る。「食に関心はあるが、本作は単なる食についての映画ではない。少数の企業が多くの消費者を支配している現状をあらわにしたもの」と自身の映画を表現した。
現在の日本については、東日本大震災に端を発する原発問題に触れて「福島の放射能の問題と、遺伝子組み換えなどの食の危険性の問題の根っこは同じ。どちらも予防原則が取られていない」と鋭く指摘。TPP(環太平洋経済連携協定)についても「日本は品質表示などで他国よりも気を付けているが、それだけに外国企業に狙われている」と警告した。
記者から次回作について質問が出ると、「“嘘”について興味があります」と答えた監督。継続して食に関して行動を起こしつつも、気候変動の問題などにも関心があることを明かした。(取材・文:県田勢)
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