木下恵介監督『楢山節考』、デ・ニーロ主演『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』などカンヌで上映
第65回カンヌ国際映画祭
現地時間5月18日、第65回カンヌ国際映画祭のクラシック部門で、木下惠介監督生誕100年を記念し、1958年の映画『楢山節考』が上映された。日本映画としては小津安二郎、宮崎駿、鈴木清順の監督作に続く歴史的選出となった。
上映に併せて、ドイツ・ベルリン国際映画祭フォーラム部門の創設者であり、木下監督と親交のあった映画史家ウルリッヒ・グレゴール氏らが舞台あいさつに登場、監督との思い出を語った。木下恵介、小津安二郎、黒澤明らは世界でも最も有名な日本の映画監督であり、グレゴール氏いわく「木下恵介監督の作品は、毎回まったく異なるジャンルや作風なので常に驚かされていた。木下監督自身も『僕は常に新しい作品を生み出していきたい』と新しいジャンルや映画スタイルを模索していた。」と当時を振りかえった。
同日は、セルジオ・レオーネ監督の名作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』も特別上映。本作はマーティン・スコセッシ監督が設立したザ・フィルム・ファンデーションとファッションブランドGUCCIのパートナーシップにより、見事デジタル修復。レオーネ監督の遺作であり、1984年にカンヌ国際映画祭でプレミア上映された際は229分の上映時間だったが、今回カンヌで披露される復元版は、これに約20分の未公開シーンが加えられている。
ザ・フィルム・ファンデーションでは、1990年にスコセッシ監督によって設立されて以来、歴史的な映画の保護と保存に貢献しており、ウディ・アレン、ポール・トーマス・アンダーソン、フランシス・フォード・コッポラ、クリント・イーストウッド、ロバート・レッドフォード、スティーヴン・スピルバーグらがスコセッシ監督に賛同し、理事会に名を連ねている。
上映会場には、本作に楽曲を提供したエンニオ・モリコーネ夫妻(『ニュー・シネマ・パラダイス』など)、サルマ・ハエックほか、イタリアやハリウッド映画、ファッション業界の著名人らが一堂に会し、会場は今回の上映に賛同する人々の熱気と華やかさに包まれていた。上映前には、本作に出演しているロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ、エリザベス・マクガヴァンらも登壇し、今回の特別上映に関しての感謝の意を表明し、約4時間の本編を観賞した。(記者:高松美由紀)