吸血鬼系の質問お断りの指示も!? ロバート・パティンソン、クローネンバーグ監督新作カンヌ登場で会見
第65回カンヌ国際映画祭
授賞式まであと2日となった現地時間25日、デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作『コズモポリス(原題) / Cosmopolis』が第65回カンヌ国際映画祭に登場し、記者会見に参加した主演のロバート・パティンソンに世界のメディアが注目、会見前に異例の「吸血鬼やこうもり系の質問はご遠慮ください」指示があった。
カナダを代表するSFホラーの巨匠であり、第52回の本映画祭で審査委員長を務めたこともあるクローネンバーグ監督が、トップアイドルのロバートを主演に起用した本作。現代文学を代表する米作家ドン・デリーロの小説を原作に、28歳にして億万長者となった男が、24時間で人生の凋落(ちょうらく)を迎える姿が描かれる。完成前からクローネンバーグ監督最高傑作になるのでは、と話題になっていただけに、会場は満員となった。
この日はニューヨーク在住のドンも同席し、「本作は、最初と最後のシーンが本当に美しくて、またカンヌで観られることができ、うれしい」と述べた後、「僕は脚本を手掛けていない、だから傑作になった」と続けると、会場から笑いが起きた。一方クローネンバーグ監督は「数年前にトロントで脚本を受け取り、2日間で読みきって、6日目には撮影のために動き出した」と本作の物語に心からほれ込んだことを語った。
一方のロバートは「クローネンバーグ監督は、あまり多くを語らない。撮影準備のために2週間ホテルに缶詰めになっていたけど、ただ一人頭を抱えながら悶々と考えていた。その後、クローネンバーグ監督の家に行っていろいろと相談しようとしたが、そこでも特に何も言われず、『自分が思うように動けばいいよ』とだけ言われた」と当時を振り返る。現場でもあまり議論を交わすことはなかったようで、ロバートは「毎テイクごとに、デヴィットはモニターに向かって撮ったばかりの映像をチェックしていたけど、僕はてっきり監督が居眠りしているのかとさえ思った」と冗談を交えながら語った。
会見では、『トワイライト』シリーズに主演する「ハリウッド・セレブ」のロバートに意味深な質問も集中。ロバートが返答に窮すると、クローネンバーク監督が「僕にとって、過去の作品はあくまで過去の自分であって、今の自分とは全く関係ない。ロバートもそうだと思うよ」と助け舟を出すシーンも。ロバートとは43歳も年の差があるカンヌ常連クローネンバーグ監督が、強い自信と共に本作をカンヌに持ち込んだことをうかがわせた。(記者:高松美由紀)