新藤兼人監督が脚本 映画『お嬢さん乾杯!』が初舞台化!
先日100歳で死去した新藤兼人監督が脚本を務めた1949年のコメディー映画『お嬢さん乾杯!』が初舞台化されることが明らかになった。舞台版では水谷八重子、波乃久里子、瀬戸摩純、市川月乃助が出演する。
映画版は『楢山節考』などの木下恵介監督がメガホンを取り、新藤監督が脚本を担当したラブコメディーで、木下監督と新藤監督のタッグ作としては、1947年の映画『結婚』に続く2作目にたる。元華族の令嬢に恋してしまう成金の青年を佐野周二さんが、家のために成金の彼を愛そうとする令嬢を原節子さんが演じているほか、佐田啓二さんが出演している。
舞台版出演者の一人である市川は、木下作品について「師匠・猿翁が團子時代に『楢山節考』に出演したのを拝見し、文楽の義太夫を駆使した創作法に感動した記憶があり、その木下監督作品『お嬢さん乾杯!』の初舞台化に出演させていただくのは感慨深いものがあります」とコメント。「また新派公演は過去にも出演させていただきましたが、このたびのような昭和物の新作に挑ませていただくのは初めてです」と明かしている。
邦画界現役最高齢監督として知られた新藤監督だが、その訃報に際しては脚本家としての才能をたたえるものが多かったのは記憶に新しい。今回の舞台版では演出を務める成瀬芳一との共同脚本という扱いになるものの、代表作とされる『原爆の子』をはじめとする社会派作品とはまた一味違う、新藤監督の脚本家としての一面に触れられるチャンスだろう。
また映画版は、8月29日にはリニューアルパッケージ化されたDVDが発売されるほか、今年中にNHK BSプレミアムにて放映されることも決定している。(編集部・福田麗)
木下恵介監督生誕100年プロジェクト 舞台「お嬢さん乾杯」は2013年1月2日~23日まで三越劇場にて上映
DVD『お嬢さん乾杯!』は8月29日発売 税込み:2,940円