リドリー・スコット監督の 『プロメテウス』健闘!トップは『マダガスカル3』! -6月11日版
全米ボックスオフィス考
今週末のチャート・バトルはダークなSFvs.ファミリー向けアニメ作品の一騎打ちとなったが、トップの栄冠に輝いたのは6,032万ドル(約48億2,560万円)をたたき出した後者、映画『マダガスカル 3』だった。4,258館で公開されたこの人気アニメシリーズ3作目は、第2作目の映画『マダガスカル2』のデビューと比較すると300万ドル(約2億4,000万円)ほどしか違いがなく、続編ものは前作よりも落ちやすい傾向にある中、大成功の部類に入る。(1ドル80円計算)
特に去年ドリームワークスが放ったアニメ映画『カンフー・パンダ2』、そしてワーナーの映画『ハッピーフィート 2 踊るペンギンレスキュー隊』が前作よりも興収が下回ったことから、今回の『マダガスカル 3』も続編ジンクスの餌食となってしまうのではないかと関係者たちは懸念していた。だがボックスオフィスで、映画『ロラックスおじさんの秘密の種』以来ファミリー・アニメのヒット作がなかったことや、『マダガスカル3』のカラフルなキャラをモチーフにした目を引くPR作戦と、映画の舞台をガラリと変えたストーリーの新鮮さなどがヒットに結び付いたようだ。
第2位は、予告編が公開されてからファンが首を長くして待ち望んでいた映画『プロメテウス』で5,105万ドル(約40億8,400万円)。惜しくも首位は逃したもののヒットが難しいとされているダークなSF作品で、おまけに17歳以下は保護者の同伴がないと入場できないR指定なのに、過去のR指定作品のデビュー週末興収ランクで総合第10位に食い込んでいる。ちなみに『プロメテウス』を抜いたR指定の歴代10位以上の作品は、その後の興行収入は全て1億ドル(約80億円)の大台に乗っており、今後の動向が楽しみである。
第3位は、新作2本に押されて後退してしまった先週トップの映画『スノーホワイト』で59パーセント興収減の2,306万ドル(約18億4,480万円)。第4位は、映画『メン・イン・ブラック3』で1,390万ドル(約11億1,200万円)。封切り17日で総合1億3,590万ドル(約108億7,200万円)を記録している。トップ5最後は、映画『アベンジャーズ』で1,125万ドル(約9億円)。541館も上映館が減ったというのに興収の下降度は45.1パーセント。この先どれだけ上映館をキープできるかによるが、国内総合収益6億ドル(約480億円)も夢ではない。
さて、今週封切り予定で次回のチャート上位を狙う話題作だが、ミュージカルとコメディーが1本ずつ。トム・クルーズが上半身ハダカで長髪のロックスターを熱演する舞台ミュージカルの映画『ロック・オブ・エイジズ』がいよいよ公開される。配給のワーナー・ブラザーズは大枚を投じてこの映画のPRを行っており、ミュージカル映画『シカゴ』の大掛かりなPR作戦をほうふつとさせる。ただ、50歳になるトム・クルーズ演じる髪を振り乱したロックスターが、どこまで映画ファンに受け入れられるかがヒットの鍵となりそうである。
一方、コメディーの新作はアメリカ人にはウケ続けているコメディー俳優アダム・サンドラーが主演する映画『ザッツ・マイ・ボーイ(原題) / That’s My Boy』がスタンバっている。アダムと同じ人気バラエティー番組「サタデー・ナイト・ライブ」出身のアンディー・サムバーグと親子を演じる。予告編を見る限りどうヒイキ目に見てもトップ5作品には見えないのだが、来週この記事で上位5作品の1本としてこの映画の話をすることになると思われる。(文・ロス取材: 明美・トスト/Akemi Tosto)