ジョシュ・ルーカスを直撃!過去にトラウマを持つ男の自己再生を描いた映画について語る!
映画『ステルス』や『ポセイドン』に出演し、さらにテレビドラマ「ザ・ファーム 法律事務所」で主役を演じているジョシュ・ルーカスが、新作『ハイド・アウェイ(原題) / Hide Away』について語った。
同作は、ある日、スーツを着た男(ジョシュ・ルーカス)が海岸に現れ、修理の必要なボートを買った。月日が経っても、そのボートで生活をし続ける男に、海岸近くのレストランで働くウェイトレス(アイェレット・ゾラー)は気にかけ始め、友人である老人(ジェームズ・クロムウェル)とともにその男の行動を見張り始める。だがその男には、現実から逃げ出したい過去があったのだった。やがて、男はボートを修理しながら、自己再生のためのエンジンをかけ始めていくというドラマ作品。監督は、映画『スモーク・シグナルズ』のクリス・エアーがメガホンを取っている。
台詞の少ないこの映画の脚本は「最初に渡されて読んだのは、75ページものトリートメント(物語を概略的に説明したもの)だった。そこには、台詞らしきものは書かれていなくて、詩のようなシンプルで美しいストーリー構成になっていたんだ。そして、そのトリートメントを読んだ6か月後に、資金が集まったから撮影するよと言われたんだ。撮影はわずか15日で、撮影監督のエリオット・デイヴィスは照明を使わずに、自然光での撮影を行っていた。撮影中には、実際に起きた出来事を記した脚本家ピーター・ヴァンダーウォールが、僕らの撮影を座って見てくれていたが、僕らは彼に話しかけることができなかったんだ。それは、彼が感情的になるからプロデューサーから話しかけないようにと言われていたんだよ」と明かした。
監督のクリス・エアーについて「僕の実の家族は、(ヒッピーで)引っ越しを頻繁にしていて、一時期シアトルに住んでいたことがあったんだ。そのときクリス・エアーが手掛けた映画『スモーク・シグナルズ』にかかわった人々が僕の近所にも居て、彼に関してはなじみがあったんだよ。この映画は、プロデューサーが製作資金を集めてくれたから製作できたが、僕とクリスは当初まさか(資金が集まって)製作ができるとは思っていなかったんだ」と語った。さらにその彼ら二人がジェームズ・クロムウェルとアイェレット・ゾラーに声をかけて出演をしてもらったそうだ。「この二人は撮影一週間前に参加してくれて、映画内での彼らのキャラクターはまるで幽霊のようなスピリチュアルな存在として描かれ、現実なのか、そうではないのか考えさせられ、さらに彼らの即興的な演技が、この映画で最大限に生かされているよ」と話した。
実際のストーリーを記した脚本家ピーター・ヴァンダーウォールの完成映画へのリアクションについて「彼はこの映画を誰よりも気に入ってくれたんだ。ただ、彼が記した脚本には神秘的な要素がたくさん含まれていて、例えば映画内では僕が演じたキャラクターが海岸で溺れるシーンがあり、そのシーンは脚本では紫色のスカーフを僕のキャラクターがつかんだことで、助けられたと脚本では神秘的に記されているが、当然誰かが助けに来て、手を差し伸べたから助けられたわけで、僕らはそういった部分を僕らなりに解釈しながら進めていったんだ」と語った。
映画は、ジョシュ・ルーカスが感情の起伏の激しい難しい役を見事にこなしている。これまで観たことのないジョシュの演技に注目すべきで、さらに自己再生していく男の姿が、叙情的につづられている作品に仕上がっている。最後に彼は、現在出演中の「ザ・ファーム 法律事務所」については、これまでかかわった作品で、最も苦労した撮影だったと明かした。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)