脚本家・橋田壽賀子、自分のこと書くの「つらかった」夫との別れ描く自伝的ドラマが放送
11日、脚本家・橋田壽賀子のスペシャルドラマ「妻が夫をおくるとき」の取材会が都内ホテルで行われ、橋田のほか、劇中で橋田本人を演じる岸本加世子と荒井光明プロデューサーが出席した。橋田は出来上がった作品について、事前にDVDで観るのはつらいと語り、「オンタイムで見ます」とコメントした。
「妻が夫をおくるとき」は、橋田が自身の体験を基に執筆した、初の自伝的なドラマ。1989年に亡くなった橋田の夫で、TBSのプロデューサーだった岩崎嘉一さんとの別れをつづった物語となっており、登場人物のほとんども実名が使われている。
製作にあたっては、荒井プロデューサーから「誰にも相手を見送るときが来る。書く意味があるんだ」と勧められ、本作の脚本に着手したことを明かした橋田。「23回忌も済ませ、主人のありがたさがやっとわかってきたとき。主人のおかげで頑張ってこられたという自分の思いを、少しでもわかっていただけたら……」と亡き夫に思いをはせる。そして「自分のことを書くのはつらかった。でも自分のことだからうそは書けない。この作品では、迷いを書きたいと思った」と心情を吐露した。
「夫は亭主関白でした。わたしは結婚してからは相手に従い、尽くしきりました。後悔していません。愛していたからできたのだと思います」と自身の結婚観と共に、岩崎さんへの今も変わらない深い愛情を吐露。「ノロけてしまいました。すいません」と笑顔になった橋田につられ、橋田を演じる岸本も、思わず笑顔に。その岸本は、あまりの大役にプレッシャーは大きかったと明かし「岩崎のお父ちゃんにはかわいがっていただいたので、ご恩返しのつもりで演じました。橋田先生に対して岩崎さんは、『愛している』『好きだよ』とか『ありがとう』など、優しい言葉は一切言わないんです。けれども、岩崎さんの深い愛情がものすごく伝わってくるドラマになっています」と充実感をにじませる。
そして「こんなに夫婦ってすてきなんだと実感しました。一回くらいお嫁に行っておけば良かったと心から思った」と語った岸本だったが、橋田から「やめときなさい。大変だから……」と言われてしまう場面もあった。他の出演者として、夫の岩崎嘉一を、橋田自身がファンであり出演を希望したという大杉漣が演じるほか、薬師丸ひろ子、中村梅雀、小泉孝太郎、神田正輝、泉ピン子ら豪華俳優陣が名を連ねる。(福住佐知子)
橋田壽賀子スペシャルドラマ「妻が夫をおくるとき」は7月23日 21:00よりTBSで放送