『るろうに剣心』吉川晃司、マイクが刀!キャラクターの魅力を語る!
人気マンガを原作にした実写映画『るろうに剣心』で主人公・緋村剣心(佐藤健)の敵役・鵜堂刃衛を演じる吉川晃司が、自身が演じたキャラクターの魅力について語った。
本作の舞台となるのは幕末から明治初頭の日本。新時代の到来とともに刀を持つ侍の時代が終わりを告げる中、生き方を模索する剣客たちの姿を描いたアクション活劇だ。その中で、“人斬(き)り”としてしか生きられない男・刃衛を演じた吉川は、役柄について「ものすごく腕の立つ剣客です。でも、一方で大きな影……というか、悲しみを背負っている。一人で完結しているという点で、自分と相通じるものを感じました」と振り返る。
常々、演じやすい役だと自身の役柄を評していた吉川はその理由について「人を斬(き)ってばかりいて、セリフが少ないから」と答えつつも、「歌い手というのも、ステージでは自己完結しているものなんですよ。たとえバンドがついていたとしても、ボーカルはメンバー全員に背を向けているでしょ。お客さんとのコミュニケーションを“バトル”と表現する歌い手もいるぐらい、しっかりと自分の足でその場所に立たなきゃいけないんです」と説明。確かに劇中の刃衛は孤独であり、その存在感たるや半端なものではない。そういう意味では刃衛は孤高のロックスターといった趣もある。
刃衛と剣心はコインの裏表のような存在であり、人斬(き)りの道を捨てた剣心とバトンタッチする形で刃衛は刀を手にすることになる。「刃衛は決して笑いながら人を斬(き)るようなタイプじゃない。剣心の刀と共に、時代に追いやられた侍たちの無念も背負ってしまったんでしょうね。どんなに刀を振り回しても、その思いは決して振り切れるものじゃないんです。彼もまた被害者の一人なのかもしれない」と時代に翻弄(ほんろう)されたキャラクターの奥深い魅力を語った。
刀なしでは生きられない刃衛は、劇中で「血を浴びてこそ刀は活きるもの」と言う。吉川は、「俺にとってはマイクが刀なんだろうね。お客さんの歓声は勇気になり、同時に喜びでもあるんです。その歓声を浴びて、歌いきる。今の時代、刀は役に立たないでしょ。刀よりもペンやマイクの方が力を持つ。歌は言霊をメロディーに乗せて相手に伝えることができるから、時にはそれが“武器”になり、“救いの手”にもなるんです」と語った。
作品を観た人の多くは、迫力のある殺陣に圧倒されるだろう。同時に、時代に翻弄(ほんろう)される男女の生きざまを描いた、かなり硬派なドラマであることも感じるはずだ。「マンガ原作のファンの中には実写作品を嫌う人も多いでしょ。でも、この映画はアクションとドラマのバランスが実にうまくできています」と語る吉川は、原作では長い舌を持ち、人間よりも妖怪に近いイメージの刃衛を孤高の男に生まれ変わらせた。その最大の見せ場は、剣心と一対一で戦うラストにやってくる。(大小田真)
映画『るろうに剣心』は8月25日より全国公開 8月22日~24日先行上映