『海猿』の勢い止める仮面ライダー映画ヒットの秘密は?40代以上の父親世代の呼び戻しに成功
先月18日から公開され、3週連続でトップを独走した映画『BRAVE HEARTS海猿』の連続首位記録を、生誕40年を超える人気シリーズが止めた。今月4日公開の『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』は土日2日でおよそ動員21万8,000人、興収2億5,000万円を記録。配給の東映によると、動員は公開1週間で50万人を突破する勢いだという。
映画『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』場面写真
2011年に公開されたシリーズ劇場版3作品の興収は、合計でおよそ46億円超え。今年4月公開の『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』の興収は、すでに昨年同時期の劇場版を越えている。特撮ファンや、イケメン俳優にひかれた母親層など、大人にも人気のシリーズではあるが、特に近年の「1位を取って当たり前」とも思えるヒットの理由はどこにあるのか。
東映の宣伝部ではその大きな理由として、2009年の「仮面ライダーディケイド」の存在を上げる。平成ライダー10周年記念番組のディケイドは、過去の平成ライダーにも変身可能。この設定が、かつて「平成ライダー」を見ていた層に大受けしファンを呼び戻すことに。そしてライダー生誕40周年を記念した『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』などで、昭和も含めた全ライダーがスクリーンに集結。これにより、40代以上の父親世代の呼び戻しにも成功。40年を超える人気シリーズとしての強みが、二重に発揮された形だ。
その後に続くシリーズ劇場版でも、「仮面ライダーW(ダブル)」では吉川晃司をライダーに起用。続く「仮面ライダーオーズ/OOO」では「暴れん坊将軍」こと徳川吉宗(松平健)を登場させるなど、話題性に加え父親世代にひびく仕掛けを施し、親子2代の興味を持続し定着させる工夫をしたことが、近年の観客動員の増加に寄与している一因と見られる。
一連の東映の試みは、ライダーだけに留まらない。昨年は1980年代を代表するヒーロー「宇宙刑事ギャバン」を復活させ、10月には単独映画『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』を公開する。仮面ライダー、スーパー戦隊、そしてメタルヒーロー……そして同社の抱える世代を超える映像コンテンツはほかにもある。色あせない過去のヒーローと未来へと続くヒーローの橋渡しが続く限り、シリーズ人気はより強固なものとなっていくだろう。(編集部・入倉功一)
映画『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』は全国公開中