くだらない映画多すぎる!永瀬正敏、村上淳ら参加「ゆとり教育」推進の元官僚初プロデュース作上映!
26日、大分県の由布市湯布院公民館で開催された第37回湯布院映画祭のクロージング作品『戦争と一人の女』上映に、江口のりこ、永瀬正敏、村上淳、柄本明、寺脇研、荒井晴彦らが出席した。
かつてゆとり教育を推進した、元文部科学省官僚で映画評論家の寺脇の初企画・初プロデュース映画となる本作は、坂口安吾による同名小説の映画化。荒井晴彦と中野太による脚本は、そこに戦中戦後の連続強姦殺人事件である小平事件を絡めて、戦争の悲惨さを強調する。
映画プロデュースに踏み切った理由として寺脇は「要するにくだらない映画が多すぎるんですよ」とキッパリ。さらに「低予算であってもとにかく脚本が良く、きちんと濡れ場もあるロマンポルノのような、とんがった、テレビで放送できないような映画を作りたかった。もともと映画というのはそういうことが出来る媒体だったんですから」と付け加える言葉も挑発的だ。
本作の舞台は戦争末期。不感症の女(江口)と虚無的な作家(永瀬)が何となしに結婚。しかし戦争が終われば破滅が待ち受けていると感じた2人は、戦争の現実から逃れるために刹那的に身体を求め合う。一方で中国戦線から身も心も病んで帰国した元兵士(村上)は、米や食料をエサに何人もの女をおびき出し、その毒牙にかける。そんなあるとき、作家においしいものを食べさせたいと思った女は、何も知らずに元兵士に出会ってしまう、という物語だ。
戦時下の性愛に切り込むという物語の性質上、ハードな性愛描写は欠かせなかった。「今の俳優さんたちは裸になるのは嫌だとか、政治的なのは嫌だとか言われてしまうので、出てくれる人がいるのかなと心配だったんです」という寺脇は、「江口さんが出てくれることになって、これならやれると確信しました」と自信を見せる。江口も「よく体当たりだとか、脱ぐのが大きなことのように皆さん言いますが、現場に行ったら脱がなきゃしょうがないし、そこは別に何とも思っていません」とこともなげにコメント。永瀬も「この作品に出会えたことは、来年デビュー30周年を迎える僕にとっても幸運なことであり、大きなものになりました」と自負する。リスキーな企画に参加した彼らに、観客からは大きな拍手が寄せられた。(取材・文:壬生智裕)