アメリカの週末興収、今年の最低興収を記録!トップは2週連続で『エクスペンダブルズ2』 -8月27日版
全米ボックスオフィス考
今回の全米ボックスオフィスは、新作勢が振るわず散々な結果となり今年の最低興収という記録を打ち立ててしまった。今週のトップは、2週連続で映画『エクスペンダブルズ2』となったが、その興収は1,342万ドル(約10億7,360万円)。本来ならこのような額は第4位か第5位の映画が弾き出す数字である。今週のトップ12の興収は8,283万ドル(約66億2,640万円)で、映画『ダークナイト ライジング』が最初の週末に売り上げた興収の半分という、何とも寂しい結果となっている。(1ドル80円計算)
第2位以下のランキングは、第5位を除いて先週と同じなのでざっとご紹介。第2位は映画『ボーン・レガシー』で、デビュー3週目の週末興収は934万ドル(約7億4,720万円)、これまでの興収は8,552万ドル(約68億4,160万円)となっている。第3位は、先週から38.7パーセントダウンしたものの同ランクで踏ん張ったアニメ映画『パラノーマン(原題) / ParaNorman』で864万ドル(約6億9,120万円)。第4位は、ウィル・フェレルのコメディー映画『ザ・キャンペーン(原題) / The Campaign』で747万ドル(約5億9,760万円)。これは、今年11月に控えている実際の大統領選が白熱してきていることから、その恩恵を受けているといえそうだ。
先週第5位だったホイットニー・ヒューストンの遺作映画『スパークル(原題) / Sparkle』が、今週は意外にも大転落劇を演じて一気に第11位まで転げ落ちてしまった。結果、空席となった第5位の座に、722万ドル(約5億7,760万円)の興収を記録した『ダークナイト ライジング』が返り咲いた。これまでにこの作品は4億2,226万ドル(約337億8,080万円)の興収を上げており、歴代の映画売り上げランキングの第11位につけている。
今週のトップ5は、いまひとつ面白みに欠けていたものの圏外に興味深い作品が1つ光を放っている。今週第7位に急浮上してきている映画『2016 オバマズ・アメリカ(原題) / 2016 Obama’s America』という政治ドキュメンタリーである。プロデューサーに映画『シンドラーのリスト』『マイノリティ・リポート』などを手掛けたジェラルド・R・モーレンを迎えたこの作品は、タイトル通りオバマ大統領を扱った内容なのだが、売れ線ドキュメンタリーのパイオニアでリベラルなマイケル・ムーア監督の作品とは大きく異なり、保守派観点から見た作品なのだ。
リベラル派からは嫌悪されているFOXニュースや過激なまでに保守派の有名トークショーがこの作品を取り上げたことから火が付き、これまではほんの数十館での上映だったのに今週からは1,091館と、上映館数が激増。政治ドキュメンタリーのジャンルにおいて、マイケル・ムーア監督の4作品、そしてアル・ゴア元副大統領の映画『不都合な真実』についで第6位につけるなど、飛ぶ鳥も落とす勢いである。
次回のチャート予想だが、今週末公開予定の新作がかなり地味なことから引き続きボックスオフィスの低空飛行が予想されるものの、ひょっとするとサプライズヒットとなるかもしれないのがシャイア・ラブーフ、トム・ハーディー、ゲイリー・オールドマン、ガイ・ピアースが勢ぞろいしたウエスタン映画『ロウレス(原題) / Lawless』。そしてもう1本は、子ども用映画『ジ・ウウギーラブズ・イン・ザ・ビッグ・バルーン・アドベンチャー(原題) / The Oogieloves In The Big Balloon Adventure』。両作品とも2,000館以上で封切りが予定されていることを考えると、本作が今週トップ5にいる作品をひきずり下ろしてランクインしてくる可能性が十分ある。(文・ロス取材:明美・トスト/Akemi Tosto)