賛否両論で話題沸騰!リドリー・スコット監督が描く人類の起源とは?
『エイリアン』や『グラディエーター』などの作品で映画界に新風を巻き起こしてきた巨匠リドリー・スコット監督の最新作『プロメテウス』が打ち出した「人類の起源」に迫る数々の謎が、賛否両論を巻き起こしている。
これだけ科学が発達した現代においても「人類はどこから来たのか?」「いったい誰が何のために人類を創造したのか?」という問いにすらすらと答えられる人はいないだろう。進化論を知ってはいるものの、それらの謎に対する答えは、いまだに人々の心に住む「神」の領域であり、一種のタブーともいえるからだ。
その人類最大の謎に正面から取り組んだリドリー・スコット監督。本作では、科学者エリザベス(ノオミ・ラパス)ら調査チームを乗せた宇宙船プロメテウス号が、人類の起源を探るために未知の惑星へと旅立つが、彼らは想像を絶する事態と向き合うことになる。人間の誕生には何らかの存在が関わったのか? それは神なのか? われわれの存在は単なる実験の成果なのか……という問いへの監督なりの答えを示したのがこの作品だ。
「この映画は生命の起源と、永遠に続く問い掛けへの物語を描いているんだ。映画を見終わったとき、観客は予想もしなかった世界を経験しているはずだ」と監督は自信を見せる。そんな本作にちりばめられた謎の数々には、さまざまな解釈が考えられるため、観客の間では早くも賛否両論の嵐が吹き荒れている。
旧約聖書には「神はヒトを我等の姿に似せて造るべしと言った」(創世記1章26節)という意味の一節があるが「我等」とは一体誰なのか……。聖書誕生後、数千年の歳月を経てもいまだ解明されない謎に映画『プロメテウス』が、新たな波紋を投げ掛けることは間違いない。(文:平野敦子)
映画『プロメテウス』は全国公開中