股間丸出しシーンがとっても気になるあぶない映画評論家の町山智浩、金正日に捧ぐ~独裁者映画を作るハリウッドのお騒がせ男を礼賛!!
8日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで映画『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』公開記念トークショーが行われ、映画評論家の町山智浩が本作の魅力を語り尽くした。
映画『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』写真ギャラリー
本年度のアカデミー賞授賞式のレッドカーペットで、故・金正日総書記の遺灰を模してまくという前代未聞のパフォーマンスで世界中を驚愕させた“あぶない俳優”サシャ・バロン・コーエンの魅力を語るのは、アメリカ在住の“あぶない映画評論家”の町山だ。
空港から直行で六本木にやってきた町山は、将軍様の口ひげをたくわえたコスプレ衣装で登場。「僕は日本版を観ていないんですけど、窓にビシャンとぶつか(って股間をあらわにす)るシーンはどうなってました?」と観客に問いかけると、最前列の男性客は「ちゃんと“かぶせ”はなかったですね」と返答。その“かぶせ”という言葉に「鶴光のオールナイトニッポンを聴いていた人ですね!」と町山は大喜び。
バロン・コーエンが演じるのは、北アフリカのワディヤ共和国の“あぶない独裁者”アラジーン将軍。映画のオープニングには「親愛なる金正日に捧ぐ」というクレジットが登場するなど、本作は世間知らずの独裁者を笑い飛ばしたコメディー映画となっているが、町山は「実はこんな小さな国の独裁者よりも、民主主義国家のアメリカの方がもっとひどいと言っているんです」とぶちまける。
続けて「上位1パーセントの富裕層が国の富を独占」「メディアがいろいろなデマを流し、国民を洗脳」「嘘の理由で外国に戦争を仕掛ける」といった例を挙げながら、アメリカの暗部を指摘する町山。「この映画がえらいのは、最後の演説のシーンで民主主義は最低だと指摘しているところなんです。アメリカは民主主義のせいで悪くなっているけど、それを選んだのは大衆なんです。ヒトラーだって国民投票で選ばれたんですから」と切り出した町山は、「これは『民主主義は最悪のシステムだ。他のすべてのシステムに比べればマシだが』という(英国の元首相)チャーチルの言葉に基づいているんです。民主主義は責任をとらないといけないんだと。バロン・コーエンは(劇中で)チンチンを出しているけど、ケンブリッジ大の出なんですよ。学のある話をするなぁと感心しました。『ハングオーバー!』シリーズのケン・チョンもそうですけど、アメリカでは頭のいい人がチンチンを出すのが流行っているんですよ」と言いながら、クククッと笑う町山だった。(取材・文:壬生智裕)
映画『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』はTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国順次公開中